Vol.03眺め、くつろぎ、ときどきバーに。
江戸の外堀、神田川沿いを走るJR総武線。車窓から緑生い茂る川辺の景色を眺めていると、飯田橋あたりで心地よさそうなデッキテラスが目を引きます。それが、今回の目的地「カナルカフェ」。神楽坂のリゾートとも呼ばれる、人気のレストラン・カフェです。
「カナルカフェ」の歴史は古く、もとは1918年に「東京水上倶楽部」によってつくられたボート場。店内はレストランサイドとデッキサイド(バーベキューも楽しめます)に分かれ、もちろん貸しボートも現役で営業中。かなり特別なロケーションではあるけれど、きっとバルコニー時間の参考になるものがあるはず! 蔦に囲まれたエントランスを潜り抜け、さっそくデッキサイドにお邪魔しました。
景色に溶け込むSimple is Bestなテラス
川に沿って広がるデッキ席に入ると、眼前に広がるのは神田川に電車、空、ビル、そして生い茂る緑と、目を楽しませてくれるものばかり。春にはここから満開の桜も楽しめるとか。テーブルはその景色を臨むように設けられ、お客さんは景色を眺めたりおしゃべりをしたり、思い思いに過ごされています。しつらえはごくシンプルで、デッキに合わせた木製ファニチャーがずらりと並び、色鮮やかな花が心地よいアクセントに。
注目したいのはこのシンプルさ。あくまで景色が主役と思わせてくれる自然体のテラスは、この景色の中に自分も一体になっているような心地よさを感じさせてくれます。なかなかここまでの眺望に恵まれたバルコニーをお持ちの方はいないかもしれませんが、もしお気に入りの景色が眺められるバルコニーなら、その景色に「溶け込む」という発想でしつらえを選んでも良いかもしれません。
景色を眺める、という点で特に良いなと思ったのは、カウンター席。川に面した手すりに木板を取り付けたシンプルなカウンターですが、ここでパソコン作業や書き物をされているお客様も多く、省スペースながら使い勝手がよさそう! 自宅バルコニーの手すり壁にも、なんとかこうしたカウンターを取り付けられないか、しばらく方法を考え込んでしまいました。
バルコニーをプライベート・バーにしちゃう?
「カナルカフェ」のデッキ席は、カウンターで注文するセルフサービススタイル。注文カウンターの隣にはバースペースも併設されています。訪問したのはお昼だったので残念ながらお酒はたのしめませんでしたが、バーを見た瞬間に閃きが。
「自宅のバルコニーをプライベート・バーとして使うって素敵かも!!」
もちろんバーカウンターを作るような大規模なことではなく、氷を入れたワインクーラーや雰囲気のある照明を置く程度のアイデアですが、それでもきっと十分。あとはご近所迷惑にならない範囲で、落ち着いた音楽を流すのも良いかも。親しいお友達を呼ぶなら、カナルカフェを真似てオリジナルの看板も作りたくなってしまいますね(張り切り過ぎ?)。これから夜風が心地よくなる季節。風を感じながらバルコニーで大人のバータイムなんて、想像しただけで素敵です。
ペットや生き物たちに囲まれて。
それにしても、「カナルカフェ」のお客さんを見ていてつくづく感じたのは、テラスなどの半戸外空間はやっぱり「くつろぎ」に適した場所なんだということ。本を読む、友人と語らう、仕事や勉強をする、あるいは特に何をするでもなく、誰かと並んで景色を眺める。都会にいながらまるで時間を忘れたかのように、誰もがリラックスしていました。まさに、この風景に溶け込むように。
このあたりは大学や観光スポットが近いせいか、留学生など外国人のお客さんも多数。この近くで働いていると思しき外国の方が、友人に「ここに来るといつも2,3時間は過ごしてしまう。何もしなくてもずっと居られるの」と話していたのが印象的でした。
そして、写真を撮っているとデッキではしゃぐかわいいワンちゃんたちを発見! そうそう、ペットと一緒に過ごせるのも、こうしたデッキスペースの魅力です。見上げれば鳥が、川には鯉が。動物の気配を身近に感じられるのも、リラックスの一要素かもしれません。
風景も、人も、動物も、そこにあるがままの時間をシンプルに楽しむ。バルコニー時間の使い方の、本質に触れたような探訪でした。
取材協力
CANAL CAFE(カナル カフェ)
- 〒162-0825 新宿区神楽坂1-9
(JR、東京メトロ、都営地下鉄 飯田橋駅) - 03-3260-8068
- 平日11:30-23:00 土日祝11:30-21:30
- 定休日: 祝日を除く第1、第3月曜日
- http://www.canalcafe.jp