アクアマリンふくしまプラントハイパーBK採用
(施工会社様取材編)

福島県の水族館への工業用水の引き込み管として地震に強いプラントハイパーＢＫが採用！開削（EF接合）と非開削（バット融着＋アーバンノーディッグ工法）を組合せ、2,600ｍを施工。

福島県いわき市小名浜に所在する環境水族館『アクアマリンふくしま』。太平洋に面した小名浜港にあるガラス張りの建物で、魚の美しさを楽しむとともに生命の進化と環境という知的（学術的）な面白さも堪能できる数少ない水族館です。大人から子供まで美と知の刺激を味わえます。
屋外施設として里山の環境を再現した「わくわく里山・縄文の里」増設工事とそれに伴う給水量アップのため、近隣道路において工業用水の引き込み工事を行い、2015年4月に引き込み工事完成、7月20日里山OPEN！

工事のあらまし

水族館の給水量を増やすため、引き込み管を増設。施設から2600m先に埋設された工業用水管路から水族館へと工業用水を引き込むパイプに、積水化学のプラントハイパーＢＫ（ポリエチレン管φ200）が採用されました。

主な工事内容は以下のとおりです。

■歩道脇の開削による配管工事

ポリエチレンパイプの接続はEF接合（ソケットを使った電気融着）

■交差点横断の非開削工事

ポリエチレンパイプの接続はバット融着接合／推進工法にはアーバンノーディッグ工法
※バット融着接合：ソケットを用いず管端を加熱融着させ接続する方法

ニーズに応じて日々勉強、日々改善

工業用水管路の配管布設を担当された福浜大一建設の式田課長と蒲倉課長、
トータルライフプランの渡部社長にお話を伺いました。

まずは、アクアマリンふくしまでどのような工事を担当されているのかお教えいただけますか？

蒲倉氏　福浜大一建設株式会社は、福島県いわき市を中心に公共の文化・福祉施設から民間オフィス、工場まで総合土木建築業として事業展開しております。いわば地元のゼネコンですね。アクアマリンふくしまに関しては、建設当初は外構工事を中心に担当いたしました。今回、里山計画に関する工事全般を行っており、工業用水の引き込みも、その中の１つです。

渡部氏　有限会社トータルライフプランは、『アクアマリンふくしま』の保守管理全般を担当し、ろ過の設備工事や配管工事を設計から施工まですべて行っております。もともとは空調関係の工事屋でしたが、アクアマリンふくしまに携わってから95％は水処理関係の仕事になりました。まあ、お求めがあれば勉強して何でもこなしますよ。もちろん、改善するところは日々改善していきます。常に自分たちで改善していかないと水族館の御要望には応えていけませんから。そういった経緯で、今回の工業用水の引き込み工事もやらせていただいています。

管材選びの絶対条件は耐震性

工業用水引き込みの計画はいつ頃からあったものなのですか？また、その部材としてプラントハイパーＢＫが採用された経緯もお教えください。

式田氏　3.11東日本大震災前から、工業用水を持ってくるという計画はありました。この辺りでは工業用水は鋼管か鋳鉄管しか使われていないもので、今回もスタート当初は鋳鉄管を想定していましたが、コストが高く実現できませんでした。予算内で何ができるのか、ということが大切ですからね。
ポリエチレン管のことは以前から知っていましたよ。海水の取水管や水管橋に使っていましたから。東日本大震災の時には、水管橋が壊れたのではないかと思って見に行ったのですが、見事に追従し、全く壊れていませんでした。また『アクアマリンふくしま』では『蛇の目ビーチ』の池への給水管でエスロハイパーJW（φ150）を使っており、ここでも生曲げ配管やEF接合などで地震に強い管材ということは知っていました。ですから今回もぜひ、ポリエチレン管を使いたいと考えていたのです。あの地震を経験した後では、同じような地震が来ても壊れないものを使いたいと当然思いますからね。

今回の工業用水の引き込み計画の当初はφ200、250、300の3サイズのエスロハイパーJWを積水化学さんにご提案いただいていました。これは本来、水道配水に使うものですから、工業用水の引き込みには過剰設計でした。いくら性能が高くても、コストが高いと「やるか」「やらないか」という話になれば「やらない」ということになってしまいます。やはり予算がありますしね。「やる」にはどうしたらいいのかを考えなくてはなりません。そうして次にご提案いただいたのが新製品として開発していたプラントハイパーＢＫでした。

どのようなことがプラントハイパーＢＫ採用の決め手になったのでしょう。

蒲倉氏　まずプラントハイパーＢＫというものがあること自体、知りませんでした。新製品ということですからね。
決め手となったのは、1.重さ、2.水圧、3.内径、4.施工、5.埋設深さ、この5つに対する性能ですね。

1つめの重さについてですが、プラントハイパーＢＫは厚さがエスロハイパーJWよりも薄く、軽量です。
これは工期が短い中で2,600mを布設しなくてはならないという今回のケースには非常に大切です。1日に7本布設できるのと4,5本しか敷設できないのでは大違いですから。

2つめの水圧。今回の工業用水はポンプを使わないで自然圧力を使うため、肉厚が薄くても問題ありません。その水圧は0.09MPaですから、エスロハイパーJWでは過剰性能になってしまいます。予算次第ではこちらでもいいのでしょうけどね。

3つめの内径。当初はφ250くらいでやりたいと思っていましたが、プラントハイパーＢＫは肉厚が薄いため、φ200で十分な流量が確保できることがわかりました。また口径を小さくできたことでコスト縮減にも効果がありました。

4つめは、生曲げ施工が可能だったことです。
今回施工した道路は、微妙に真っ直ぐではありません。プラントハイパーＢＫは多少の曲がりがあっても通常通り接続していけば道路にそって施工できますから、設計の時にも施工の時にも非常に楽になります。
とてもありがたい利点だと感じます。

5つめとして、埋設深を浅くできることもポイントでした。
この辺りは埋立地ですから、90cmくらい掘ると地下水が出てきます。それに対して埋設深さは60cm以上ないといけない。上は60cm、下は90cm、その間に敷設する必要があります。5cmでも深ければ地下水が出てしまうという状況の中では、口径を小さくできるパイプは施工の省力化に大きく貢献しています。

地下事情を鑑みた非開削工法の採用

施工時に路面を大きく掘り返す必要のない非開削工法であるアーバンノーディッグ工法で施工されたとのことですが、この工法を採用された背景を教えてください。

渡部氏　工事を行った場所は、大きな通りを横断する2箇所です。そのため、24時間開削することが一切許されませんから、交通を遮断せずに地中で推進させ、管の布設ができるアーバンノーディッグ工法が採用されたというわけです。
ちなみにアーバンノーディッグ工法のような推進工法を施工する上でも、先程も話に出ていたプラントハイパーＢＫの利点が大変活きました。この辺りは埋立地ですから、掘っていくとよく石やコンクリートの塊がでてきます。推進工法を使うと、大きな口径の管や、ソケットで接続した場合のソケット部の段差などがそういった障害物に当って推進の邪魔になります。今回は口径も小さくでき、バット融着で管の継ぎ目に出っ張りもなかったため、推進していく際の抵抗も少なくスムーズに推進できました。おどろくほど早く施工できましたよ。

工事はまだ途中ですが、今後の課題などはありますか？

渡部氏　道なり2,600ｍの管を布設していきますから、まっすぐ設置したつもりでも微妙に上下して埋設されているはずです。このせいで水を通した時にエア溜まりができ、その箇所の口径が理論上小さくなってしまうわけですね。ここは水圧が小さいですから、このエア溜まりがなくならない。この影響で流量が減ってしまわないかは技術的なことですが心配ですね。

積水化学へ希望されることはどのようなことでしょう。

渡部氏　施工、設計、管材のスペック、この3つの視点からお話します。
まず施工についてです。
EF接合における冷却時間を短くしてほしいこと、それから汎用型の発電機が欲しいということですね。それから、地下水が出ても融着できればいいなと感じます。
次に設計については、CADでポリエチレン管の生曲げを描けるようにしてほしいですね。たとえば材料を「ポリエチレン管」と選択すると許容曲げまで管材を曲げられるようになれば設計が非常に楽になります。
管材のスペックに関しては施工業者の立場から見たときに、その管材が何に強く何に弱いかを明確にしていただきたいですね。ホームページやカタログを見ても、「これもできる」「あれもできる」ということしか書いてありませんから、業者の立場ではわかりづらいと感じます。過剰スペックのものはコストも高くなりますから使いたくありません。何でもできるというものはなく、１つひとつの工事案件に対して「これができる」というものが欲しいと思います。

まずはこちらが要求する性能があって、「これとこれがその性能を満たします」といった情報が知りたいです。いろんなところで使えます、とか全部の性能を満たします、というのは結局用途がわからなくなってしまいますからね。そうした時はやっぱり営業さんに電話するわけです。「こういう使い方をしたい」という要求に応えてくれるのは、やはり営業マンです。

今回ご採用いただいたプラントハイパーＢＫの今後について、期待がありましたらお聞かせください。

渡部氏　沿岸には工場が多いでしょう。工業用水用管路としてプラントハイパーＢＫは今後、ますます使われていくと思いますよ。川の水を持ってくれば生産に使えますし、海水を持ってきて冷却に使うこともできます。耐圧、紫外線、軽量。これが工業用水には必要で、プラントハイパーＢＫはちょうどいい管材だと感じます。

ありがとうございました。今後も施工を担当される皆さまのご要望にお応えできるよう、精進してまいります。今後ともよろしくお願いいたします。

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今回ご紹介させていただいた製品概要

エスロンプラントハイパーＢＫ

プラント用ポリエチレン管（工業用水・薬液配管向け）

工場配管用のポリエチレン管がNEWラインアップ。ポリエチレン管の性能をそのままで工場配管に使用できます。
工業用水・廃液・薬液用配管に。

プラント用ポリエチレン管（工業用水・薬液配管向け）エスロンプラントハイパーＢＫの製品ページはこちら

アーバンノーディッグ工法

非開削推進工法

非開削でポリエチレン管を地中に引き込む画期的な工法。はじめに地上からドリルを操作し、管布設の計画線上を圧入推進。拡孔リーマーと耐震ポリエチレン管を接続し、圧入推進とは逆方向に引き込みます。
開削工法に比べ工期を大幅に短縮できるとともに、地表面の破壊や交通遮断、遮音、産業廃棄物の発生を最小限に抑えます。