Introduction
株式会社神鋼環境ソリューションは、KOBELCOグループの環境プラントメーカーです。
上下水、産業用排水などの水処理システムや廃棄物処理システムをはじめ、バイオマス設備や冷却塔、化学・食品機械など、多岐にわたる事業を展開しています。
今回、同社が手掛ける水処理プラントの配管改修に、積水化学の高耐候性硬質ポリ塩化ビニル管「UVストロング」が採用されました。施主様へのご提案を担当された藤崎様に、採用の経緯やUVストロングを使用するメリットを伺いました。
インタビュー : 2022年5月17日(オンラインによる取材)
Guest
株式会社神鋼環境ソリューション
藤崎 桂一 様
Interview
水処理プラントでUVストロングを採用
- ———まず、神鋼環境ソリューション様の事業内容についてお教えください。
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当社は「水処理関連事業」「廃棄物処理関連事業」「化学・食品機械関連事業」を展開しております。
水処理関連事業は、上・下水道設備や民間の製鉄所・発電所・食品工場・化学工場などにある水処理設備の設計・建設・運転及び修繕を中心に事業展開しております。
廃棄物処理関連事業は、都市ごみの焼却・溶融施設や粗大ごみ・各種リサイクル施設の設計・建設・運転及び修繕を中心に事業展開しております。
化学・食品機械関連事業は、鋼の表面にガラス材料を吹き付けて焼成した「グラスライニング」や「撹拌」の技術を活かし、プロセス機器と呼ばれるプラスチック、医薬品、電子材料部品などの原料を生産する反応機、乾燥機、蒸留装置等の設計・製造・販売及び修理を中心に事業展開しております。
私は水処理関連事業で民間企業向け水処理設備の営業を担当しており、具体的には、お客様に対して水処理設備の建設からアフターサービス、設備改善などを提案しております。
- ———UVストロングを採用された設備について教えてください。
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施主様をご開示することはできませんが、建設から20年以上経過した排ガス処理用薬品の屋外配管の改修に採用させていただきました。
配管だけではなく、設備全体の老朽化が進んでおり、4年ほど前から優先順位を付けた改修計画を提案し、順次更新を進めさせていただいております。
- ———今回の工事範囲についてお聞かせください。
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苛性ソーダ、硫酸、リン酸の薬液を移送する屋外配管で、管径はφ20mm~φ65mm、全長1,800mの範囲になります。
- ———どれくらいの工事期間だったのでしょうか?
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今回施工した設備は止めることができない設備だったため、設備の負荷や生産スケジュールなどを調整いただいた結果、8時間以内に古い配管から新しい配管に切り替えるよう施主様から要請がありました。配管工事以外も同時並行で進め、約1週間で全ての工事を終えております。
紫外線劣化診断を更新の判断材料に
- ———更新前の管種は何だったのでしょうか?
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HIVP(耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル)管をUVストロングに更新しました。今回の設備は、配管が屋外を通っており、目視で配管の変色が確認できました。紫外線による劣化は明らかでしたが、施主様からは、更新の判断をするために、数値で根拠を示して欲しいとの要望がありました。そこで、積水化学様より「紫外線劣化診断」をご提案いただきました。
診断結果として紫外線劣化を定量的に提示できたことで、施主様にご納得いただき、更新工事の受注に至りました。施主様にも依りますが、事前保全より事後保全の傾向が強くなっており、今回もし、紫外線劣化診断を提示できなければ、配管更新の優先順位を上げることは難しかったように思います。
- ———劣化診断はどのように行うのですか。
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配管の表面をスクレーパーで削ってサンプルを採取し、積水化学様にお送りし、分析いただきました。簡単な作業なので、初めてでしたが、気軽にできました。
【積水化学営業担当・藤澤】
積水化学では塩ビ管の紫外線による劣化を調査する診断を行っています。
薬液による劣化の場合は既設のパイプを抜き取ってサンプルとしてご提供いただいて調査する必要があるのですが、紫外線の劣化を見るのであれば、管の表層を削るだけで、抜管しなくても診断できるメニューをご用意しております。
- ———調査診断をご利用いただいたうえで施主様にご提案いただいたということなんですね。UVストロングをご採用いただいた経緯も教えてください。
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以前からUVストロングを存じ上げており、施主様に提案しておりました。
更新のきっかけは、配管からの液漏れです。今回の施主様のように、簡単に止めることができない設備に対しては、突然の設備停止のリスクを最小化する提案が求められます。UVストロングは耐候性が高く、更新の間隔を延ばせるため、施主様のニーズにマッチしていました。
今回、施主様には塩ビ管・UVストロング各々での更新の見積をお示ししたのですが、材料費よりも足場設置など仮設費用のウェイトが大きかったこともあり、トータル金額の差が小さく収まり、耐候性により得られるメリットをご勘案いただき、採用が決まりました。
個人的には、10年、20年先のことを考え、新設でも採用いただきたいのですが、配管の物量が多い場合、材料費が工事費に占める割合が大きくなるため、イニシャルコストが優先され、塩ビ管が選ばれるケースがどうしても多くなっています。
耐候性と施工性が採用の決め手
- ———UVストロングをはじめて知ったきっかけは?
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インターネットで塩ビ管の代替品を調べた際に、UVストロングの存在を知りました。その当時は皮むき(スクレープ)が必要だったので『耐候性は魅力だが、施工に手間が掛かる』という印象をもっておりました。
しかし、積水化学様から『皮むき(スクレープ)が要らなくなりました』との連絡をいただき、それ以降、他メーカーさんに耐候性に特化した製品がないこともあり、採用させていただくことが増えています。
- ———塩ビ管は紫外線に弱いので遮光塗料を塗るケースがあると思いますが。
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塗装による紫外線対策をしたことはありますが、塗装の剥がれや鋼製パイプと間違って踏んでしまうなどのデメリットがあり、積極的には採用しておりません。
- ———UVストロングの施工はいかがでしたか。
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塩ビ管と同じではありますが、ライニング管と違い、現場で寸法合わせができるため、後日、現合管を施工する必要がなく、施工は早いです。また、鋼管に比べ軽いため、特に高い場所での配管作業が楽になると思います。
- ———貴社は環境への意識も高いとお聞きしています。
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当社は、廃棄物を減らす取り組みやバイオマスを燃料化する取り組みなどを通じ、SDGsを意識した経営を推進しております。
UVストロングは、高い耐候性から配管の長寿命化に繋がるため、SDGsの理念に沿った商品であり、今後も積極的に提案させていただきたいと考えております。
【積水化学営業担当・藤澤】
塩ビ管のリサイクルに関して、塩ビ管・継手協会でリサイクルシステムができており、塩ビ業界としてはずっと環境貢献活動も取り組んでいます。セキスイ社内としてもリサイクル塩ビを使った製品も製造しております。
- ———積水化学への要望がございましたらお教えください。
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積水化学様の耐薬品性の塩ビ管(プラントVPパイプ)も、UVストロング同様に高耐候性を備えれば、非常に付加価値の高い商品になるのではないかと想像しております。
———貴重なご意見をいただきありがとうございます。お客様のご要望に応える製品ができるよう、開発に努めてまいります。本日はお時間をいただきありがとうございました。
Products
今回ご紹介させていただいた製品
高耐候性硬質ポリ塩化ビニル管・継手 エスロンUVストロング
製品解説———
紫外線(UV)に強い耐候性向上樹脂を表層にコートすることにより、屋外用途で抜群の耐候性能を発揮する塩ビ管です。 紫外線劣化による物性低下を抑制し長寿命化を実現します。 耐候性向上樹脂と塩ビ層が強固に一体化し剥がれにくいため、塗膜の剥がれによるメンテナンスが不要。ライフサイクルコスト低減に貢献します。 NETIS(新技術情報登録システム)に登録されています。
技術名称:屋外圧力配管用硬質ポリ塩化ビニル管・継手(UVストロング)
登録番号: CB-200003-A(DV継手は除きます)
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1.耐候性促進評価(耐衝撃性)
屋外暴露の促進試験において、20年相当でも衝撃性能の低下が15%程度です。
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2.最高許容圧力
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3.耐候性促進評価(外観)
外観の変色、物性の低下を抑制します。
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4.剥離性評価
高耐候層の剥がれにくさが実証されています。
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