金剛化学株式会社

原薬製造の排水ラインにプラントハイパーBKが採用!
金剛化学株式会社

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Introduction

金剛化学株式会社は、医薬品の有効成分である原薬を製造する化学メーカーです。歴史的に医薬品製造が盛んな富山県富山市に本社・工場を置き、1941年の創業以来80年以上にわたり培われた有機合成技術により各種医薬品原薬を製造・開発しています。その中には国内で唯一の製造元である製品や、世界シェアNo.1を誇る製品もあり確かな技術で私たちの健康を支えています。
今回、同社の工程排水配管に積水化学の高性能ポリエチレン管「プラントハイパーBK」が採用。
施設課長の小西様に採用の経緯やご感想を伺いました。
インタビュー : 2022年7月27日(オンラインによる取材)

Guest

金剛化学株式会社 施設課 課長
小西 様

Interview

決め手は耐薬品性と耐候性の両立

–––––まず、金剛化学様について教えてください。

当社では医薬品の原薬や中間体を製造・開発しています。「原薬」というのは薬に含まれる有効成分となる物質で、原料を何度も化学反応させて作られています。このプロセスの途中の化合物を「中間体」と呼びます。
製造された原薬は製薬会社へ出荷され、ドラッグストアで販売したり病院で処方される医薬品の材料として使用されています。例えば痛み止めの薬の痛みを止める効果、目薬の充血を抑える効果などが表れるのは有効成分である原薬が作用しているからなんです。当社では血圧降下薬や高脂血症薬、ビタミン剤や解熱鎮痛薬などさまざまな種類の原薬を製薬メーカーに提供しています。

金剛化学株式会社 施設課 課長 小西様
–––––私たちが服用している薬の原薬を製造されているんですね。多くの人の健康に役立つ大事な製品ですね。
原薬の製造というとあまりなじみが無いかもしれませんが、「実はいつも服用している薬に使われていた」と言われることがよくあります。私は製造現場や開発の担当ではありませんが、患者の皆様の健康に一役買っていることを嬉しく思います。
–––––では、今回の工事について伺います。小西様が担当されているのはどのような仕事なのでしょうか?

私が所属する施設課では原薬製造現場の設備や機械の設計、改修を担当しています。富山市の本社には全部で19の工場があり1968年に建設開始した第1工場から今年2022年に新設された第19工場まで、建設された年代も製造設備もさまざまな工場が稼働しています。古い工場は老朽化が進んでいて、日々場内を点検しながら修繕や改修計画を進めています。

–––––プラントハイパーBKが採用されたのはどのような配管ですか?

プラントハイパーBKを採用したのは、製造工程で発生する排水用の管です。工場の排水には酸やアルカリなど原薬製造に使用される様々な薬品が含まれていますから、そのまま排出することは出来ません。そのため敷地内の排水処理施設で浄化処理を行ってから排出しており、工場から処理施設を繋ぐ排水主管にプラントハイパーBKを使用しました。
19ある工場から排出された排水は2本のアルカリ性排水管と1本の酸性排水管の大きく3つの主管に集められ、屋外のパイプラックを通って処理施設に運ばれています。排水主管は短いもので150m、長いものは300mあり、分岐配管も含めると施工延長は1kmを超える長さでした。

工場の排水を処理施設へ運ぶプラントハイパーBK
–––––これまで工程排水管にはどんな管種を使用されていたのでしょうか?

製造工場が建設されていく中で排水管には色々な管種を使用してきました。金属ではステンレス管、樹脂では塩ビ(PVC)やFRP強化塩ビ管を使用しています。
初期はステンレス管だったのですが、酸やアルカリの腐食による損傷が大きいため耐薬品性が高い樹脂の塩ビ管を使用していました。ただ塩ビ管は薬液には強いものの、露出配管では紫外線による劣化が激しく、対策のため15年ほど前からFRP強化塩ビ管を使用しています。ですがFRP強化塩ビ管も布設から10年くらいで紫外線劣化が目立つようになり、表面のFRP層が剥離してしまうこともあったので新しい管材を探していました。この数年は経年劣化したパイプラックの更新を重点的に進めていたのですが、それが完了して配管の更新に取り掛かるタイミングでプラントハイパーBKを知り今回採用することになりました。

広い場内を横断するパイプラック
–––––プラントハイパーBKを知ったきっかけや第一印象を教えてください。

きっかけは、積水化学の藤澤さんが営業に来てくれたことでした。それまでも積水さんの管材製品は一部で使用させてもらっていたのですが、あまり多くはなかったんです。ちょうど新しい管材を検討していた時だったので藤澤さんに相談したところ、プラントハイパーBKを紹介してくれました。

【積水化学営業担当・藤澤】
私の前任者の頃から金剛化学様にはお世話になっておりまして、私が担当させていただくことになった際、小西様にご連絡させていただきました。それがちょうど耐薬品性と耐候性に優れる管材をお探しだったタイミングと重なったためプラントハイパーBKをご紹介し、キャラバンカーで性能をご覧いただきました。

落錘衝撃試験による耐衝撃性能テスト

【小西様】
キャラバンカーで性能を直接見て確認できたことはとても分かりやすかったです。薬品にも紫外線にも強く柔軟なお陰で耐震性もあり、融着により抜けや漏れがない。更新が必要なタイミングであったこともありますが決裁担当者への説明もスムーズに進みました。

せん断試験による耐震性能テスト
–––––プラントハイパーBKの施工についてはいかがでしたか?
工事を担当した業者さんはポリエチレン管の融着接合は初めてだったのですが、事前に積水さんに講習会を開いてもらって施工指導してもらったので特に問題はありませんでした。機械を操作するだけで融着が完了するので、通常の配管よりも容易に施工が出来たのではないでしょうか。それに作業者による施工の差が出にくく、品質が安定していることも利点だと思います。
–––––今後もプラントハイパーBKや他の積水化学製品を採用される予定はありますか?
今後は、今回更新した排水主管に加えて、各工場から主管に接続する枝管もプラントハイパーBKで改修する計画です。
先にお話ししたように年代によって様々な種類の管材を使用してきたので工場ごとに枝管の管種がバラバラなのですが、劣化の度合いにより優先順位を付けて改修を進めていきたいと考えています。新設の第19工場でも採用させてもらっていますよ。
他にも薬液用のプラントVPパイプや高い耐候性を持つ塩ビ管のUVストロングなども、今後採用を検討しているところです。医薬品の製造には厳しい品質管理基準がありますから製造ラインでの採用はハードルが高いのですが、実績や調査を重ねていくことで可能性はあると思います。
–––––ありがとうございます。管材など生産設備に関する製品情報はどのように入手されることが多いですか?
オンライン取材の様子

より良い生産設備を構築していくためにも、意識して情報を集めるようにしています。北陸新幹線が開通してからは東京の展示会にも参加しやすくなったので、コロナ前には足を運んでいました。今は機会が少なくなってしまったので自分で調べるにはインターネットを活用することもあります。
ただ今回のようにメーカーや商社の営業の方から直接話を聞いて教えていただくことは非常に重要だと思っています。

–––––最後に、積水化学へのご要望や期待することがあれば教えてください。

プラントハイパーBKと他管種の接続について。BKのフランジ短管はルーズフランジ型で、全面座フランジではないですよね。なので、他の樹脂管や樹脂製バルブと接続した時にフランジやバルブが変形してしまうのではないかという不安があります。そういった不安が解消されるような製品があれば嬉しいです。
また、プラントハイパーBKだけでなくプラントVPパイプやUVストロングのような高い付加価値を持つ製品を紹介していただけることを今後も期待しています。

–––––ご要望にお応えできるよう、製品改良に努めてまいります。本日はお時間をいただきありがとうございました。

Products

今回ご紹介させていただいた製品

プラント用耐震型高性能ポリエチレン管・継手
プラントハイパーBK

製品解説–––––

水道用配管で高い実績を持つ高性能ポリエチレン管が、工業用水・廃液・薬液用配管にもご使用いただけるようになりました。柔軟性・可とう性に優れ、また融着接合による一体管路によって信頼性の高い耐震管路が構築できます。NETIS(新技術情報登録システム)に登録されています。
技術名称: 屋外露出配管用高性能ポリエチレン管(プラントハイパーBK)
登録番号: CB-200004-A

プラントハイパーBK
  • 1.耐震性

    柔軟性・可とう性に優れ、また融着接合による一体管路によって信頼性の高い耐震管路が構築できます。

  • 2.施工性

    薄肉化、軽量化を実現。軽量のため運搬や取扱いが容易です。

  • 3.耐薬品性

    ポリエチレン樹脂は化学的に安定した材料で酸やアルカリに強くサビや腐食も発生しません。

  • 4.高耐候性

    (黒色)により屋外配管が可能です。ポリエチレン管(青色)に比べ、大幅に耐候性を向上しています。(スーパーUVテスターで照射後試験実施)

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