日本ケッチェン株式会社 新居浜事業所で
プラントハイパーBKを工程排水配管に採用!

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Introduction

愛媛県新居浜市に事業所を構える、日本ケッチェン株式会社。同社で生産される触媒は、石油製品の環境問題対策に欠かせない重要な製品です。 新居浜事業所の2つの工場から排出される工程排水配管に、積水化学のプラントハイパーBKを採用。決め手になったのは、高い耐腐食性能と耐震性能でした。今回は、設備管理を担当される日本ケッチェン株式会社の黒瀬様・小林様・高井様、施工を担当されたスミメックエンジニアリング株式会社の浅海様に、採用の経緯や施工のご感想を伺いました。
インタビュー : 2021年12月7日(オンラインによる取材)

日本ケッチェン株式会社 新居浜事業所

Guest

日本ケッチェン株式会社 黒瀬様 小林様 高井様
スミメックエンジニアリング株式会社 浅海様

Interview

海水に対する耐腐食性能が評価され採用へ!

———まず、日本ケッチェン様について教えてください。

小林様:弊社が製造しているのは、「水素化処理触媒」です。水素化処理触媒とは、石油製品から硫黄(サルファー)を取り除くために使用する物質です。
ガソリンや軽油、灯油など原油から蒸留分離された石油製品は硫黄を多く含んでいて、そのまま燃料などに使用すると排ガス中の硫黄酸化物(SOx)による大気汚染や酸性雨など環境問題の原因となります。そのため燃料ごとに硫黄含有量の基準値が定められており、水素化処理触媒と反応させて硫黄分を取り除くことで、基準値をクリアした環境負荷の少ないサルファーフリー燃料がつくられるのです。事業所があるのは愛媛県の新居浜ですが、瀬戸内工業地域だけでなく、日本全国、さらにはアジア太平洋地域の製油所にも触媒を出荷しています。

日本ケッチェン株式会社 小林様
———環境負荷軽減に貢献している重要な製品なのですね。
では、プラントハイパーBKは工場のどのような配管で採用されたのでしょうか?

小林様:新居浜事業所では水素化処理触媒を生産している工場が2つあり、1つは1972年に、もう1つは1982年に稼働を開始しました。プラントハイパーBKを採用したのは、工場で発生する工程排水の配管です。生産ラインでは化学薬品を使用しているため、2つの工場から発生する排水を工場内の排水処理施設で浄化処理してから海に放流しています。処理施設から海までの約260mの区間に、口径200AのプラントハイパーBKを採用しました。

ラック上に配管されたプラントハイパーBK

これまでは、工程排水とともに冷却水や雨水、生産ライン以外の生活排水をまとめて埋設ヒューム管で排水していたのですが、雨が降ると排水量が多くなりすぎて規定の排水量をオーバーしてしまう可能性があるんです。
さらに、排水配管が1つしかないと、もしも漏洩が起こった時に工場をストップして確認しなければなりません。2つの排水配管があれば、遮断弁でラインを切り替えて工場を止めることなく対応が出来ます。
万が一の時のリスクを減らすため、工程排水を専用配管で排水できるようにすることが、今回の工事の目的でした。当初は2つ目の排水ラインも埋設にする計画でしたが、漏洩が起こった時に発覚しやすいように、ラック上の配管にしました。

———プラントハイパーBKの採用理由を教えてください。

黒瀬様:耐腐食性能が大きな理由ですね。工場で使用する冷却水や洗浄水には、工業用水の他に海水を取水しています。工程排水も約半分が海水ですから、腐食に注意しなければいけない。海水による配管の腐食にはこれまでも苦労してきました。ポリエチレン管は薬液にも塩分による腐食にも強いということですから、心強いですね。
また、耐震性にも期待しています。実は、初期段階ではFRP強化塩ビ管の使用も検討していましたが、ポリエチレン管は2016年の熊本地震でも被害が全くなかったという実績をお聞きし、大きな魅力を感じました。

日本ケッチェン株式会社 黒瀬様

高井様:コスト面でも優れていたことも採用の後押しになりました。FRP強化塩ビ管と比較すると、見積時点での材料費、施工費は同じくらいでしたが、ランニングコストを考えると耐腐食性・耐震性が高く配管の長寿命化が期待できることから、プラントハイパーBKに決定しました。

———以前からプラントハイパーBKはご存じでしたか?

黒瀬様:プラントハイパーBKの採用は今回が初めてではないので、以前から知っています。最初のきっかけは2015年で、紫外線による劣化が見られた工業用水用塩ビ配管の劣化診断を積水さんに依頼したことです。診断結果とあわせて、営業担当の方からプラントハイパーBKを紹介してもらいました。

水道用エスロハイパー バックホウによる強度確認試験

小林様:私はたまたまTV番組の「がっちりマンデー」で水道用エスロハイパーが紹介されていたのを見ていたので、積水さんに紹介してもらう前から、ポリエチレン管が強くて柔軟性が高いことは知っていました。バックホウで踏んでも破損しない実験は非常に印象的で、よく覚えています。初めての採用の時には、事業所長の前でパイプのサンプルを10ポンドハンマーで叩いて強度を確認してもらったくらいです。カタログなどの情報だけでなく、実際に目で見ることが一番わかりやすいですからね。

黒瀬様:劣化診断の後、まずはテストとして工業用水用塩ビ配管の一部をプラントハイパーBKで更新しました。その後、2016年に海水取水配管約130mの更新で初めて本採用し、2019年にも硫酸ライン約400mの更新でプラントハイパーBKを採用していて、今回の工程排水配管で3回目の採用になります。かなり信頼していますね。

———各種配管でご採用いただきありがとうございます。海水配管では苦労されたとのことでしたが、詳しく伺ってもよろしいでしょうか?

黒瀬様:工場では排ガス洗浄のために海水を使っていて、敷地に面する海から取水しています。海水取水配管を初めて建設したのは1982年で、当初はLP管を使用していたのですが、埋設箇所で漏洩が見つかったため、1995年に更新を行いました。海水を取水するとどうしても水だけでなく貝殻なども一緒に取り込んでしまうので、それが原因で管内面が摩耗し、海水による腐食も重なって劣化が進んだのだと思います。
LP管の次はステンレス管で更新しましたが、残念ながら短期間で漏洩が発生してしまいました。
その次にはFRP強化塩ビ管を使用しました。腐食に対する性能は申し分ないのですが、耐震性能や総合的なコストなどのメリットから、今後はプラントハイパーBKを使用していきたいと思っています。

———では、スミメックエンジニアリングの浅海様にお話を伺います。プラントハイパーBKによる施工の感想を教えてください。
スミメックエンジニアリング株式会社 浅海様

浅海様:弊社ではEF(電気融着)接合による配管施工は初めての経験だったのですが、一番大きく感じたのは、工程が少なく施工が早く済むということです。
FRP強化塩ビ管では、ガスバーナーを使用する表面層の剥離や塩ビ溶接、ガラス繊維の積層と、施工工程が多く時間がかかります。プラントハイパーBKは、表面をスクレープして継手を挿入したら融着機を操作するだけで接合が出来ます。配管のスピードはかなり違いました。継手の挿入に力がかからず容易なことも印象的です。
溶接の場合、上手く材料が溶け込まずに漏れが発生してしまうことがまれにあるのですが、融着では管と継手が一体化するので、安心感があります。もし融着不良が起きてしまっても機械で判定してくれますしね。もちろん、施工不良が発生しないように細心の注意を払うことは、どんな配管材でも変わらず気を配っているんですけどね。

———施工にあたり心掛けられていたことはありますか?

浅海様:融着機の供給する電源の電圧確保には気をつけています。融着機の電圧が下がってしまうと融着不良の原因になってしまいますから。

黒瀬様:2015年にテスト採用で初めてプラントハイパーBKを施工した時、施工場所が工場中心部から離れたところにあったため、融着機の電源を末端の作業分電盤からさらにケーブルを介して供給したことで、電圧降下により融着不良が発生してしまったんです。それ以来、融着機の電源には発電機を使用することを工事仕様書に明記しています。

浅海様:機械の力を借りることで労力が減った分、そのメリットを十分に発揮して施工の品質を上げられるように心掛けています。

———最後に、プラントハイパーBKに関する積水化学への要望や今後に期待することを教えてください。

黒瀬様:今回の工程排水配管はラック上のためポンプで揚水しているのですが、その装置まわりにはプラントハイパーBKは使用できていません。
ポンプの入口と出口にはドレンノズルや圧力計ノズルのような小口径の機器を設置します。大口径のプラントハイパーBKには直接設置が出来ないので、その範囲はVP管を使用しています。パイプに取り付けて小口径に分岐できるEFサドルは今のところ口径150Aまでと聞いているので、より大口径に対応できれば便利になると思います。

———施工者様からの視点ではいかがでしょうか?
日本ケッチェン株式会社 高井様

浅海様:施工方法や使い勝手にはこれといった要望はありません。こちらとしては、施工しやすいプラントハイパーBKの工事がもっと増えてくれると嬉しいです。
あえて挙げるなら、今回の工事で施工中にルート変更の必要があり、追加で大口径の継手が必要になった時に納品まで少し時間がかかったので、在庫を豊富に揃えて、短納期にも対応してもらえるとありがたいですね。

高井様:新居浜地区ではまだ採用事例が少ないこともあり、日頃付き合いがある販売会社ではあまり在庫を持っていないんです。製品の良さが広まって採用も増えれば、さらに採用しやすい環境が出来ていくと思います。

黒瀬様:はじめに劣化診断を依頼した時に積水さんがプラントハイパーBKを紹介してくれたおかげで、こんなに良い製品があるということを知ることができたんです。今はWebで新しい情報が簡単に手に入る時代ですが、本当に自分たちが必要としている情報にたどり着くのはなかなか難しい。積水さんが今後の新居浜地区でのプラントハイパーBKの普及に励んでいらっしゃるので、期待しています。

———貴重なご意見をいただきありがとうございます。配管の長寿命化、さらには工場の安定操業に貢献できるよう努めてまいります。

本日はお忙しいところお時間をいただきましてありがとうございました。

Products

今回ご紹介させていただいた製品

プラント用耐震型高性能ポリエチレン管・継手
プラントハイパーBK

製品解説———

水道用配管で高い実績を持つ高性能ポリエチレン管が、工業用水・廃液・薬液用配管にもご使用いただけるようになりました。柔軟性・可とう性に優れ、また融着接合による一体管路によって信頼性の高い耐震管路が構築で きます。NETIS(新技術情報登録システム)に登録されています。
技術名称: 屋外露出配管用高性能ポリエチレン管(プラントハイパーBK)
登録番号: CB-200004-A

プラントハイパーBK
  • 1.耐震性

    柔軟性・可とう性に優れ、また融着接合による一体管路によって信頼性の高い耐震管路が構築できます。

  • 2.施工性

    薄肉化、軽量化を実現。軽量のため運搬や取扱いが容易です。

  • 3.耐薬品性

    ポリエチレン樹脂は化学的に安定した材料で酸やアルカリに強くサビや腐食も発生しません。

  • 4.高耐候性

    (黒色)により屋外配管が可能です。ポリエチレン管(青色)に比べ、大幅に耐候性を向上しています。(スーパーUVテスターで照射後試験実施)

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