耐震性が認められ採用拡大

ダイキン工業 淀川製作所の工程廃水配管に
プラントハイパーBKが採用されました

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Introduction

世界随一の空調機器メーカーとして名高いダイキン工業株式会社。空調だけでなく、化学製品やフィルタ機器など多くの事業を展開しています。その生産拠点のひとつ、淀川製作所にて、工程廃水配管にプラントハイパーBKを採用。キャラバンカーによる耐久試験や施工実演をご覧のうえ検討いただき、テスト採用後に発生した大阪府北部地震での被害ゼロという実績を経て、本採用に至りました。
今回は、設備管理を担当されるダイキン工業株式会社の武本様・土堤様、施工を担当された鴻池運輸株式会社の谷本様、有限会社平野工業所の柏様・高野様に、プラントハイパーBK採用までの経緯や、採用によるメリット、施工時のご感想を伺いました。
インタビュー : 2021年7月15日(オンラインによる取材)

キャラバンカーによる説明会
ラック上に配管されたプラントハイパーBK

Guest

ダイキン工業株式会社 武本様/土堤様
鴻池運輸株式会社 谷本様
協力業者 有限会社平野工業所 柏様/高野様

Interview

震度5強の地震を経て耐震性能を証明!

–––まず、ダイキン工業 淀川製作所様について教えてください。

武本様:淀川製作所はダイキン工業のなかでも歴史のある生産拠点で、1941年に稼働開始しました。さすがに当初からの設備はほぼ残っていませんが、古いものでは高度経済成長期に建設された設備も多くあり、改修を繰り返しながら日々製品を生産しています。1960~70年代ですから、約50年前にもなりますね。当時の図面が今でも残っていることもありますよ。
大きな設備ですから、丸ごと新しくすることは少なく、改修・更新の仕事は生産と同じように日々継続して行います。
設備の劣化は待ってはくれないので、どうしても更新が出来ている箇所、出来ていない箇所が点在してしまうんです。

ダイキン工業株式会社 武本様
–––劣化の発見から改修の発案、工事まではどのような流れで行われるのでしょうか?
ダイキン工業株式会社 土堤様

土堤様:運転部門では日々設備の点検を行っています。その点検で亀裂や漏水などの劣化が見つかると直ちに我々設備管理の部門に連絡が入り、例えば配管からの漏水であればその日のうちに配管を取り替える必要があります。
このようなトラブルを回避するために淀川製作所の化学プラントでは、毎年10~11月にプラントの稼働をすべて停止して、一斉に点検や修繕工事を行います。これは当社だけでなくプラント業界では一般的で、定期整備と言われます。運転部門の日常点検結果や設備の重要度の観点から更新計画を立案し、この期間に集中して更新や修繕工事ができるように準備しています。

–––今回プラントハイパーBKが採用されたのはどんな配管でしょうか?

武本様:プラント設備から排出された廃液が流れる工程廃水配管です。
淀川製作所では空調機器の冷媒をはじめ、フッ素ゴムやフッ素樹脂などのフッ素化学製品を主に生産しています。生産ラインでは多くの化学物質を使用しており、廃水は施設内の廃水処理施設に送られ、浄化してから排出します。
その廃水処理施設へ廃水を移送する屋外架空配管に、プラントハイパーBKを使用しました。

–––プラントハイパーBKの採用に至るまでの経緯を教えてください。
土堤様:20~30年前に施工された塩ビ管を使用した配管で、長期にわたって薬液を含む廃液を運んでいたため、近年は毎年のように配管に亀裂・漏水が見つかっていました。しかもラック上に設置されていますから、点検の目が届きにくく、配管の損傷に初期段階で気づきにくいんです。耐食性・耐久性があり、長寿命化が期待できる配管を検討していて、積水化学さんに相談したところ、プラントハイパーBKを紹介してもらいました。
–––プラントハイパーBKの第一印象はいかがでしたか?

武本様:カタログや様々な試験結果を見せてもらい、ポリエチレン管が酸やアルカリの薬液に強く腐食しないことや、柔軟性があり外部からの力にも強く、耐久性にも優れることなど、特長を教えていただきました。
屋外配管ですから、耐候性にも優れていることも印象的でした。
キャラバンカーによる説明会もあり、性能試験やEF接合による電気融着を実際に見せてもらいました。特に耐震性の実演で、地盤の歪みにパイプが柔軟に追従していく様子を見ると、ポリエチレン管の強さがよく分かりましたね。
そこでまずは使ってみようということになり、屋外架空配管の一部で採用することになりました。

EF接合の施工を実演
せん断試験による耐震性能テスト
落錘衝撃試験による耐衝撃性能テスト
–––はじめは一部での採用だったのですね。
土堤様:初めての試みですから、どうしても慎重になってしまいます。データ上の数字や試験の様子を見たとはいえ、実際に採用してみてどうなるかは分かりませんから。
採用拡大のきっかけになったのは、2018年の大阪府北部地震でした。工場がある摂津市でも震度5強の大きな揺れがあり、塩ビの配管には多くの損傷が発生したのですが、プラントハイパーBKの配管ラインには被害が無かったんです。プラント設備の耐震化が急務であるという方針のもと、改修を進めることになりました。
毎年の定期整備で屋外架空配管のプラントハイパーBKへの更新を進め、2025年までに約300mの配管を15ライン、改修工事を予定しています。
今後もプラントハイパーBKへの改修を予定
–––導入事例を同業他社のプラントメーカー様にもご紹介いただいたと伺いました。
武本様:日本プラントメンテナンス協会では、各社の担当者が一堂に会する改善発表会が開催されるのですが、弊社よりラック上配管の維持管理について発表する機会があり、プラントハイパーBKの導入事例を紹介させてもらいました。
プラントの架構内配管の場合は日々の業務の中で点検の目が届きやすく、老朽化を早期に発見しやすいのですが、ラック上の配管は高所にあることもあり点検がしづらく、いつの間にか劣化が進み、突然漏れ出して初めて気づく、ということもあります。耐震性、耐候性があり、漏水もしないプラントハイパーBKは最適です。
プラントの安全かつ安定した操業のためにも、良いものは積極的に情報共有して、広めていきたいと考えています。
–––同業他社様との交流で製品や技術の情報を知ることも多いのでしょうか?
武本様:プラントメンテナンス協会会員の他社様との交流会で情報交換をしたり、工場見学をさせてもらったりする機会もあり、業界全体で協力しています。
他にも、情勢もあり頻度は減ってしまいましたが、展示会への積極的な参加や、プラントエンジニアリングに関する専門誌を通して、最新の製品や技術を学ぶようにしています。

–––積水化学としても、安全・安定操業に貢献できるよう、製品の開発や周知に努めて参ります。

軽量で施工性に優れ、高所配管のスピードアップに貢献
–––プラントハイパーBKのメリットについて、施工の面からもお聞かせいただけますでしょうか。

柏様:接合がカンタンなことは一番のメリットですね。金属管の接合では溶接しますが、どうしても職人の技量によって出来が左右されてしまうんです。EF接合では管端部を加工した後、機械に繋げるだけで自動でやってくれます。それに、施工に必要な機器が少なくて済むのもありがたいです。高所のラック上に機械を運び上げるのも一苦労ですから。
施工スピードを比較すると、たとえば50m施工するのに、鉄管やFW管では3週間かかるところをプラントハイパーBKは1週間で済みます。

鴻池運輸株式会社 協力業者
有限会社平野工業所 柏様
EF接合による管・継手の一体化を実感

融着について、せっかくの機会なので質問してもいいでしょうか? 融着が完了すると継手から2箇所突起が飛び出ますよね。その出方が左右で違うことがあるんですが、高さが違っても問題はないですよね?

積水化学: この件に関してご質問いただくことが多いのですが、高さが違っていても全く問題はありません。電熱線によりポリエチレンが融け、接合部が融着すると、インジケーターという突起が現れます。これが片方でも出ていないと融着不良が起きているのでやり直さなければならないですが、高さに関わらず両方とも隆起していれば、大丈夫です。

柏様:なるほど。それなら安心しました。

谷本様:配管自体も軽いので持ち運びが楽なことも助かりました。今回使用した50A~125Aのパイプであれば、人の手で上げられますからね。金属管であればクレーンで吊り上げなければならず、時間もかかります。

武本様:軽量なことは設計の面からも大きなメリットですね。従来管は塩ビでしたから、金属管に変えるとラックの耐荷重量を超えてしまうかもしれない。それにクレーンを使用したらその分費用もかかりますから。

鴻池運輸株式会社 谷本様
–––最後に、積水化学に期待すること、要望などがありましたらお聞かせください。
土堤様:プラントハイパーBKを使用しているラインの廃液は、カルシウムや石灰の成分を含んでいて、配管の内面にそれらが付着、堆積することがあるんです。その点に関してはプラントハイパーBKでは解消されていないので、今後の改善に期待したいです。

武本様:現在、工程廃水配管に続いて、ラック上の薬液移送配管に採用を拡大していきたいと考えています。まずは塩酸35%の配管に採用していくために、積水化学さんと協力してフィールド試験を行っているところです。
プラントハイパーBKはまだ新しい製品ですが、これから実績や試験データが増えてくれば、新たに検討する方にとって安心感があり、もっと採用が拡大していくと思います。
–––ありがとうございます。施工の面からもご要望などはありますでしょうか?

柏様:EF接合の機器が少なくて済むのはありがたいのですが、欲を言えば、融着機器がもっと小型で軽量になると嬉しいですね。ラック上のような高所ですと持ち上げるのが大変ですから。それか、ワイヤレスで離れたところから操作できたら、夢のようですね。

高野様:継手のラインナップがもっと充実すれば、いろいろな現場に柔軟に対応できると思います。例えば90°エルボは直角に曲がるタイプですが、ショートエルボタイプもあると、狭いところで施工している時など、収まりを工夫して施工がしやすい。
それから、夏場の暑い時季は、施工完了したパイプが熱で反ってしまうことがあるんです。もちろん性能に問題ないことは分かっているのですが、やっぱりピシッと真っ直ぐになっている方が見栄えがいいので。地震の時には柔軟に曲がるけど、熱による反りは起こりづらいようにしていただけると、ありがたいです。

鴻池運輸株式会社 協力業者
有限会社平野工業所 高野様

–––貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございます。今後とも価値ある製品をご提案できるよう努めて参ります。

本日はお忙しいところお時間をいただき、ありがとうございました。

Products

今回ご紹介させていただいた製品

プラント用耐震型高性能ポリエチレン管・継手
プラントハイパーBK

製品解説–––

水道用配管で高い実績を持つ高性能ポリエチレン管が、工業用水・廃液・薬液用配管にもご使用いただけるようになりました。柔軟性・可とう性に優れ、また融着接合による一体管路によって信頼性の高い耐震管路が構築で きます。NETIS(新技術情報登録システム)に登録されています。
技術名称: 屋外露出配管用高性能ポリエチレン管(プラントハイパーBK)
登録番号: CB-200004-A

プラントハイパーBK
  • 1.耐震性

    柔軟性・可とう性に優れ、また融着接合による一体管路によって信頼性の高い耐震管路が構築できます。

  • 2.施工性

    薄肉化、軽量化を実現。軽量のため運搬や取扱いが容易です。

  • 3.耐薬品性

    ポリエチレン樹脂は化学的に安定した材料で酸やアルカリに強くサビや腐食も発生しません。

  • 4.高耐候性

    (黒色)により屋外配管が可能です。ポリエチレン管(青色)に比べ、大幅に耐候性を向上しています。(スーパーUVテスターで照射後試験実施)

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