Introduction
9月28日、愛媛県新居浜市の水道創設70周年を記念して「新居浜水道フェスタ2024」が開催されました。買い物客で賑わう会場、イオンモール新居浜を訪ね、水道フェスタの目的と新居浜市が進めている災害に強い水道づくりについて、上下水道局局長である玉井様のお話を伺いました。
インタビュー : 2024年9月28日
Guest
新居浜市上下水道局 局長 玉井 和彦 様
Interview
新居浜市は水道創設70周年
- ———まず、初めに新居浜水道フェスタ開催の目的について教えてください
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玉井様 : 新居浜市では1954年に水道の計画が始まってから、今年で70周年を迎えます。これを記念して、イオンモール新居浜さんにて水道フェスタを開催しました。
新居浜市の水道は地下水を水源とし、塩素消毒だけで各家庭にお届けしています。この新居浜の豊かな水環境を次世代に引き継ぐための取り組みをご紹介させていただいています。
積水化学さんにも水道用ポリエチレン管「エスロハイパー」の性能を紹介するキャラバンカーでご協力いただきました。ショッピングを楽しむ合間にご家族連れを含む多くの方に興味を持って見学してもらい、水道事業への理解を深めていただければ幸いです。10年前、水道創設60周年の時にも水道フェスタを開催しましたが、この10年の間に災害が身近に感じられるようになったというか、災害に強い水道づくりの必要性を痛感しております。また、60周年の時は水道だけだったのですが、この間に下水道を合わせて上下水道局となりましたので、今回の70周年のフェスタでは防災トイレの取り組みも紹介させていただいております。
- ———災害に強い水道づくりと防災トイレの設置。その内容について新居浜市の水道の歴史からお聞かせください
- 玉井様 : 戦前の新居浜では井戸が自噴し、各家庭とも井戸水を利用していたそうです。ところが1946年に発生した南海地震のあと、井戸の状態が変わって塩水化や水位低下が起きるようになりました。これでは困るということで水道の認可をとることになり、1954年、計画給水人口35,000人で新居浜市の水道が創設されました。その後、新居浜の発展とともに水道の普及(2022年度末の普及率97.7%)が進み、3つの給水区で12万市民に安全で安心な水をお届けしてきたのですが、最近では人口の減少傾向や節水設備の普及によって給水能力が上回るなど、水道施設の運用について見直すべきところが出てきています。
- ———新居浜市には3つの給水区がありますが、その3つとも地下水を水源とされているのですか?
- 玉井様 : 給水区ごとに6箇所から9箇所の井戸があり、その井戸から組み上げた水を送水場に集めたあと、山の上にある配水池にポンプで圧送。その配水池から自然流下で各家庭にお届けしています。
- ———災害に強い水道施設の防災対策についてお聞かせください
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玉井様 : 水道施設は地震発生時に最も影響を受けやすいライフラインといわれています。もし地震によって老朽化した管路の多くで破損事故が起こると、市内全域で長期間の断水や交通障害が発生し、市民生活に多大な影響が出る恐れがあります。こうした被害を最小限に留め、迅速な復旧ができるよう配水池や管路のすべてを耐震化できればいいのですが、それは理想であって一朝一夕にできるものではありません。
そこで新居浜市では経営戦略や新水道ビジョンに沿って配水池や送水場まわり、また災害拠点病院など重要施設への給水ルートの耐震化を進めるとともに、老朽管更新にあたっては塩ビ管を配水用ポリエチレン管に入れ替えるなど、地震に強いインフラづくりを進めています。
- ———新居浜市の水道管路の構成を教えてください
- 玉井様 : 新居浜市が管理している水道の管路延長は2022年末時点で619km。その管種別割合は、鋳鉄管・ダクタイル鋳鉄管が43%、塩ビ管が42%、ポリエチレン管が13%、鋼管が1%です。
ポリエチレン管による老朽管路の更新には、積水化学さんの耐震型高性能ポリエチレン管「エスロハイパーJW」も使用しています。
配水用ポリエチレン管を導入したのはその耐震性に着目したからで、実際に採用してみると、ポリエチレン管の特質と融着施工での管路の一体化が相まっての安心感があり、施工業者の方達も「軽量で作業がしやすい」と喜んでおられます。現在は老朽管路のうち50mmから150mmの配水管に配水用ポリエチレン管を導入しています。主に配水池から山を下って分岐部に出たところからの、小口径の管路です。
- ———ご採用いただきありがとうございます。新居浜市での水道耐震化はどの程度進んでいるのでしょうか
- 玉井様 : 2022年度の耐震化率は配水池で71.4%、井戸から配水池までの管路が41.9%。その耐震化率を2033年度までに配水池で90.0%、配水池までの管路で55.0%に引き上げる計画です。
管路の老朽化と更新はいたちごっこの状況で、多くの自治体にとって悩みの種です。耐用年数どおりに更新していたのでは、水道管路のすべてを耐震化するのに170年かかるという話もあります。それではどうしても追いつかないので、日頃の点検や維持管理によって1.5倍長くもたせる。それが全国的な傾向だと思います。
また近年では人口減少や節水機器の普及により、給水能力が需要を上回っています。地下水も大切な資源ですから、井戸から汲み上げる量を需要に合わせなければなりませんし、水道施設の見直しも必要に応じて行わなければなりません。また、管路の更新にあたってはサイズダウンを行なって、耐震化の費用の一部に当てるなどの対策もとっています。
- ———今回の新居浜水道フェスタには防災トイレも登場しましたが、導入状況について教えてください
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玉井様 : 安全で安心な水道づくりと同様、下水道でも幹線管路や下水処理場の地震対策を進めているところで、その一環として災害時の避難所でもある市内13の小学校に災害用マンホールトイレを順次設置しています。積水化学さんが開発した災害用マンホールトイレ「防災貯留型トイレシステム」です。
下水道直結型の水洗タイプのもので、1システムに5基の洋式便座を備えておりますので、万一の災害の際、避難所を利用される方々の精神的な負担を少しでも軽減できるのではと思っております。
———今後も水道・下水道の防災対策に貢献できるよう、努めてまいります。今回はお時間をいただき、ありがとうございました
Products
今回ご紹介させていただいた製品
エスロハイパー給水配水一体化システム
- 給水管引き込み部耐震化の実現
- 既設管との確実な接合を実現するJIS外径寸法
- 従来管路との高い互換性・新旧の高い視認性
- 長寿命な配水・給水システムを実現
柔軟・一体管路で地震に強いライフライン
積水化学の施工講習会
水道配水用・給水用ポリエチレン管は現場にて「安心・安全」な施工をしていただくため、積水化学のメーカー施工講習会またはPWA*施工講習会の受講をお勧めしています。
※建築設備用ポリエチレンパイプシステム研究会(給水部会)
青ポリ本管及び給水装置の施工の要点、効率的な施工方法、注意点などを習得します
施工講習WEB受講証
所定のWEB座学講習+テストを修了した場合に「実技講習なし段階」で発行
施工講習修了証すべて無料です
所定の座学講習(WEB講習含む) + テスト + 実技講習を修了した場合に発行
実技講習の追加受講でバージョンアップ!
- ● 原則スマホ表示のデジタル修了証です。カードタイプはご相談ください
- ● 給水管は業界団体承認も可能(建築設備用ポリエチレンパイプシステム研究会(給水部会))
- ● 修了証裏面に配水・給水工事に必要な関連項目において講習を受講した内容に●が付きます。POLITEC講習会と同様、メカ継手・鋳鉄サドルの施工説明も実施しております。
これ以降は会員の方のみご利用いただけます
会員登録済みの方
未登録の方
<営業担当から一言>
西日本営業本部
近畿設備システム営業所
土木システムグループ
好井 潤一
(好井) :私は愛媛県生まれ。そんなご縁もあってか、積水化学の四国4県の担当となり、新居浜市様とは10年ほど前からお付き合いをさせていただいています。
市役所の隣にオープンした防災センターを始め様々な施設で、エスロハイパーだけでなく各種エスロンブランド製品のご採用や、避難所の災害トイレ整備事業でも当社災害トイレシステムを継続してご採用いただいております。
『人とのつながりを大切にした営業』というのが私の信条です。そのことを忘れず努めてまいりますので、担当地域の皆様、これからもよろしくお願いいたします。