堺市 石津水再生センター

台風被害の覆蓋修繕にエスロンネオランバーFFUを採用!

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Introduction

大阪府堺市の最初沈殿池覆蓋修繕工事に積水化学の合成木材エスロンネオランバーFFUが採用されたと聞いて、石津川の河口にある石津水再生センターを訪問。堺市上下水道局下水道施設部の喜多知広さんと、石津水再生センターの運転管理にあたっておられる東洋メンテナスの皆様のお話を伺いました。

インタビュー : 2024年6月21日

Guest

堺市上下水道局
喜多 知広 様

東洋メンテナス株式会社
渡邊 直人 様
石井 将司 様
松陰 隼矢 様

Interview

2018年台風で覆蓋が破損

———台風が原因で下水処理場の覆蓋(ふくがい)修繕工事を行ったとのことですが、当時の様子を教えてください

喜多様 : 大阪湾沿岸に暴風と高潮被害をもたらした2018年9月4日の台風21号。あの関西国際空港の連絡橋にタンカーが衝突した台風で堺市に3カ所ある下水処理場の一つ、石津水再生センターの覆蓋が破損。積水化学さんの合成木材エスロンネオランバーFFU製の覆蓋に置き換える形での修繕工事を行いました。
石津水再生センターには2系統の下水処理設備があるのですが、そのうち1系の最初沈殿池で使用していたFRP製の覆蓋が破損してしまいました。3つ並んだ沈殿池の可動蓋が3つとも台風の風で吹き飛ばされたのです。

堺市上下水道局 喜多 知広 様
堺市上下水道局
喜多 知広 様
———何かが覆蓋にあたって壊れたのではなく、覆蓋そのものが吹き飛んだのですか?
喜多様 : 当時、私は三宝水再生センターにおりましたので覆蓋が吹き飛ぶ瞬間を見ていないのですが、石津水再生センターの包括的民間委託契約を結んでいる東洋メンテナスの渡邊さんが覆蓋破損から処理場構内に押し寄せた高潮の状況まで逐一報せてくださいました。
処理槽の覆蓋が吹き飛ぶほどの猛烈な風
吹き飛んだ覆蓋
———渡邊さんにお伺いします。あの台風の日はどのような状況だったのですか?

渡邊様 : 私は副総括責任者として石津水再生センターに勤務しておりました。管理棟の窓のそばで台風と構内の様子を見ていたのですが、午後1時59分に瞬時停電があって、その瞬時停電の直後、3つの沈殿池の可動蓋がふわーっと浮き上がったかと思うと、バラバラの方向に飛び、真ん中の池の可動蓋が同じ池に取り付けられた固定蓋の上に落ちました。そのあとの午後2時45分、石津漁港にある処理水の放流口から高潮が押し寄せ、処理場構内が水浸しに。
さらに水嵩を増してポンプ棟に迫ったのですが、幸いポンプに水が入ることもなく、3時15分頃になって高潮が収まりました。建物の屋上に設置された明かり窓やルーフファンも破損してしまいましたが、屋内の高圧受電設備は無事で、大事には至りませんでした。

東洋メンテナス株式会社 渡邊 直人 様
東洋メンテナス株式会社
渡邊 直人 様
吹き飛んだ覆蓋
吹き飛んだ覆蓋

破損した明かり窓とルーフファン

破損した明かり窓とルーフファン
———処理場の主要設備であるポンプや受電設備は被害を免れ、何よりです。
それでは、破損してしまったFRP製覆蓋の修繕工事に積水化学のFFUを採用いただいた経緯についてお聞かせください。

渡邊様 : 1系の3つの最初沈殿池(9.4m×32m×水深2.8m)に設置されていた可動蓋3点と、固定蓋1点が破損してしまい、修繕することになりました。FRP製覆蓋を平成9年に製造納品してもらったメーカーに連絡したのですが、そちらは既に覆蓋の生産を中止してしまっていました。
そこで別のFRPメーカーに図面を送って見積を依頼するとともに、合成木材の覆蓋を商品化している積水化学さんの話を聞いてみたいと思いました。
FFUが角落しなど下水処理場の副材に利用されていることは知っていましたし、堺市の共通仕様書に合成木材が載っているのを見て思いついたのですが、私が積水化学さんと話すのは初めてのこと。どこの誰と話せばいいのかもわからなかったのですが、連絡をとってみるとすぐに担当の方がやってきて、現場を確認して話を聞いてくれました。
その後それぞれの見積を受け取ったのですが、積水化学さんの見積は、可動蓋に必要な車輪や金具などが工場で取り付けられた一つの製品としてのものだったのに対して、FRPメーカーの見積は現場で覆蓋に部材を取り付ける必要がありました。可動蓋のレールさえ施工すれば後は覆蓋をレールに乗せるだけ、ということで積水化学さんの提案を採用させていただきました。

施工中のFFU製固定蓋
施工中のFFU製固定蓋

FFUで破損した覆蓋を修繕!

———修繕工事で施工されたFFU製覆蓋のサイズを教えてください

喜多様 : 8280mm × 3000mmの可動蓋が3点と、8140mm × 735mmの固定蓋が4点です。すべてアーチ形状をともなうもので、開閉取っ手や車輪などの金具がついた可動蓋は幅方向に6分割した状態で搬入し、現場で一枚の覆蓋に仕上げました。また固定蓋の一つには点検口がついています。
堺市では東洋メンテナスさんと包括的民間委託契約を結んでいて修繕工事もその中に含まれているのですが、一定以上の規模の工事では堺市が予算化をはかり、契約することになっています。
この覆蓋修繕工事はそのラインを超えるものになりましたので、堺市が直接発注することになりました。

FFU製の可動蓋(写真中央部)
FFU製の可動蓋(写真中央部)

可動蓋 開閉の様子

———東洋メンテナス様はいつから石津水再生センターの運転に携わっておられるのですか?
石井様 : 平成25年に1期目の包括的民間委託契約を結ばせていただき、令和5年4月から4期目に入っています。ただ、石津水再生センターとの関わりということになると、その前の夜間運転業務委託の時代まで遡ります。
石津水再生センターの運転管理から放流水質の管理まで、24時間365日にわたって24名体制で業務にあたっています。
東洋メンテナス株式会社
石井 将司 様
———市民の皆様が快適な生活を送るために欠かせない仕事ですね。堺市様では環境教育にも力を入れられていると伺いました。

松陰様 : 環境教育の一環で小学生の下水処理場見学が行われており、弊社がセンターのご案内を担当しています。
今年4月から6月の3ヶ月間にも17校の見学会がありました。子供さんたちに環境問題や下水処理に理解を深めてもらえるのは嬉しいことです。

東洋メンテナス株式会社 松陰 隼矢 様
東洋メンテナス株式会社
松陰 隼矢 様

ありがとうございました。これからも積水化学の合成木材エスロンネオランバーFFUをよろしくお願いいたします。

センター内のビオトープ
センター内のビオトープ

<営業担当から一言>

(左)
西日本セキスイ商事株式会社
機能材営業所 所長
田中 英樹

(右)
積水化学工業株式会社
環境・ライフラインカンパニー
機能材事業部 機能材営業部
水処理・耐食グループ
冨岡 青

(田中)
東洋メンテナスの渡邊様から電話で現場の状況を伺い、既設蓋のメーカーが事業撤退をしていて困っているとのことでしたので、何かお手伝いをする必要があると考え直ぐに現場に向かいました。
既設のFRP蓋がアーチ形状だったので、同じアーチ形状の蓋をFFUで製作するのは難しく思えましたが、滋賀栗東工場 機能材技術課の新前の協力もあり、採用して頂ける提案をすることができました。
私自身も堺市民ですので地元の施設の復旧に携われたことは感無量でした。

(冨岡)
FFU製覆蓋をご採用いただきありがとうございました。
石津水再生センターでは、現場に合わせたオーダーメイド加工ができるというFFUの特徴を評価いただき、台風被害でできてしまった開口にぴったり合う可動蓋を納入させていただきました。
近年、威力を増す自然災害に、FFUでこれからも対応していく所存であります。
堺市様、東洋メンテナス様、取材へのご協力ありがとうございました。

Products

今回ご紹介させていただいた製品

ガラス長繊維強化プラスチック発泡体
エスロンネオランバーFFU

製品解説

エスロンネオランバーFFUは、硬質ウレタン樹脂発泡体をガラス長繊維で強化した合成木材です。天然木材に代わる素材としてあらゆる分野で使用可能。自然環境保護に役立つ素材として注目されています。

特長
  • 1.天然木材のように

  • 2.プラスチックだから

施工例
  • 1.水処理施設に

    覆蓋

    耐久性に優れ、水に浮く軽さを持ち、万一落下した場合も回収が容易です。長期使用品のリユースが可能でライフサイクルコスト削減にも貢献します。

  • 2.港湾施設に

    浮桟橋

    耐水性・耐食性に優れ防腐処理の必要が無く、水質に影響を及ぼさないため環境に配慮した設計が可能です。

  • 3.斜面防災に

    受圧板

    施工性に優れているため、工期短縮やコスト削減に寄与します。また、柔軟な設計対応力で、現場にマッチした製品を提案しています。

  • 4.鉄道施設に

    合成まくらぎ

    コンクリートと同等の品質安定と耐久性能をあわせ持ちながら木材のように施工でき、鉄道会社各社に採用されています。

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