多機能型自動給水栓「水(み)まわりくん」を導入したICT活用の連携プロジェクトにメディアも大注目!

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新潟水まわりくん

プロジェクトのあらまし

新潟市では大手企業や農業ベンチャーと連携し平成27~28年度にわたり、「Paddy Watch 水稲向け水管理支援システム」(以下水田センサ)を活用した『革新的稲作営農管理システム実証プロジェクト』を実施。水管理の省力化(見回り回数など)が最大6~7割、平均3~4割の労力を削減できることが解りました。
本年度は “セカンドステージ”として、クラウド型営農管理システムほか、積水化学の遠隔操作による水管理を行える自動給水栓「水(み)まわりくん」を組み合わせることで、更なる稲作の大規模化・省力化を図る『「水田センサ」・「自動給水栓」を活用した遠隔操作による水管理実証プロジェクト』が始動しました。


【連携事業者】

■積水化学工業株式会社
-自動給水栓「水(み)まわりくん」の提供
■株式会社NTTドコモ
-水田センサの提供、水田センサと水田管理アプリケーションを繋ぐ通信モジュールの提供
■ベジタリア株式会社
-水田センサと水田管理アプリケーションの開発、水田管理アプリケーションの提供
■ウォーターセル株式会社
-クラウド型営農管理システム「アグリノート」の提供
■新潟市
-モニターとのマッチング、実証フィールドの調整、全体の事業調整

【実証圃場】

■株式会社白銀(しろがね)カルチャー
-新潟市内の水田5箇所 合計面積4.2haの大規模圃場

プロジェクトに参画する5者によるお披露目の場として、新潟県の職員、JA新津さつきの職員のほか、地元の新聞・農業関連紙の記者、テレビ局のクルーなど多くメディアから注目を集めました。
前回行われた『革新的稲作営農管理システム実証プロジェクト』に自動給水栓「水(み)まわりくん」が組み合わさることが今回のプロジェクト最大の特徴。水(み)まわりくんが設置された新潟市内の水田で行われた発表会にて、地元の担い手が水(み)まわりくんを実際に使用した感触や今後の展望などをお話しいただきました。

新潟水まわりくん

実際に自動給水を実演

前回のプロジェクトでは、水田センサによって圃場の見回り回数の削減が可能であることが解りましたが、水田に給水をするためには現場へ行かなくてはならず、物理的に移動回数をゼロへ近づけるには限界がありました。
今回、それらを解決するため、水(み)まわりくんと水田センサを連動させることで、水稲の大規模省力化を図っていくこととなります。

新潟水まわりくん

水(み)まわりくんは、専用のアプリで「給水スケジュール」を設定し、そのスケジュール通りに自動で給水を行うことができるシステムです。スケジュールは「定周期設定」「週周期設定」「カレンダー設定」やバルブの「開度設定」など詳細に設定が可能で、給水実績などのデータも取得できます。
また今回の実証では、自動給水システムの他「水位センサ」の働きも紹介されました。この水位センサは過剰な給水を避ける為のもので、例えば給水スケジュールの合間に雨によって水が補給されてしまった場合、設定通りに自動給水が開始されると過剰に給水がなされてしまいます。水位センサを設置することで、設定した水位に達した時、自動で給水を停止させる機能を付加できます。

このセンサ機能によりスケジュール通りの給水と突発的な水位上昇にも柔軟な対応が可能となりました。
今後の開発では、距離の離れた場所に位置する圃場も網羅できる通信システムの整備や、水温センサの開発による水温の上昇対策などサステナブルかつ自動で対応できるよう改良を加えていく予定です。

新潟水まわりくん

お披露目の会場では、実際に給水のスケジュールを設定し水(み)まわりくんの自動給水を実演しました。
担当者が設定した時刻通りに給水開始・給水停止が自動的に行われ、各メディアから高い関心を集めました。同時にセンサを活用したシーンも実施。設定した水位に達したと同時に、自動で給水停止が行われるシーンを披露しました。

新潟水まわりくん

水(み)まわりくんを実際に使ってみて

地元の担い手である農業法人「株式会社白銀(しろがね)カルチャー」代表取締役の荒木 康男さん、実証水田の担当をされている松田 秀之さんのインタビューをご紹介いたします。

———実際に水(み)まわりくんを使ってみていかがでしょうか?

松田さん 朝早くに見回りに来なくても良いので、すごく楽になりました。水(み)まわりくんはあらかじめスケジュールを設定しておくだけで、自動で給水をしてくれます。急な雨が降っても水(み)まわりくんの水位センサが設置されていれば、常に見回る必要がないんです。ちょっと通りかかった時に「どんな具合かな?」とすこし様子をみるだけでいい。今まで見回りにかけていた時間や見回りの回数は格段に少なくなりました。
今回の実証でも水田センサを使っています。水田センサで水位などの詳細を確認して、足りないようなら足しにくるといったかたちになります。
成長具合によって水まわりくんのスケジュール管理と水位センサを都度調整してあげればいいだけなので、これからは見回りに費やしていた時間を別の仕事にまわしていけると思います。

新潟水まわりくん
———水(み)まわりくんを導入して感じたことはありますか?

荒木さん 現場に来る回数をさらに減らすこと。それが今回の実証における趣旨です。水田センサで水の状態をみて、順調に給水がされていれば、水(み)まわりくんも正常に動いていると判断できる。それは非常にストレスの軽減になっていると感じます。
水(み)まわりくんは、今まで出来なかった「給水をする」という作業を自動でしてくれます。人件費や管理経費を削減した利益の最大化に繋がると思っています。

———水(み)まわりくんで軽減された労力はどうされるのでしょう?

荒木さん 水(み)まわりくんで減らすことの出来た労力は他の作物へ移行したいと考えています。ですが、まだ80枚ある水田のうち5枚にしか水(み)まわりくんを設置していません。今後、台数を増やしていけば、丸々一人分の労力を、別の作物に移すことができると考えています。

———こういった最新の技術を活かして行くことについてどう思われますか?

荒木さん 今こそ「ロボットトラクター」など色々とありますが、水(み)まわりくんは「水管理部門」としての一つの製品になると思います。
これからは生産コストを下げるなどをして、我々農家が生き残っていく手段を探さないといけません。最新の技術はそういった方向で新しい道を拓いてくれるものと認識しています。
たまたまなのですが、私どもは区画整理された水田とされていない水田、両方を持っています。区画整備された圃場の水管理を自動化させることについては、その良さが際立って理解することが出来ました。

———今後のICTや水(み)まわりくんに対して期待することは?

荒木さん 見回りに行かなくても良いということは、農作業の軽減に非常に有効です。ですが、見に行かないということは、害虫や病気の発見が遅れてしまうというリスクも伴います。今後ICTでは、害虫や病気などのリスク軽減の分野を伸ばしていってもらいたいですね。
水(み)まわりくんについては、もちろんコスト面もありますが、積水の担当さん曰くまだシステムの改善や回線やパーツを改良する余地があるとお聞きします。そうやって製品として成熟が進んでいけば、農家としては非常にありがたいシステムになっていくと思います。

新潟水まわりくん

<水(み)まわりくん 現場レポート-archive->

【現場レポート】ナベヅル飛来地・山口県周南市での酒米の生産支援システム実証実験に積水化学の「水(み)まわりくん」が活躍

今回ご紹介させていただいた製品

水田水管理省力化システム 多機能型自動給水栓

現場レポート_水まわりくん

水田水管理省力化システム 多機能型自動給水機 水(み)まわりくん

製品解説

エアダスバルブの上部に設置することで給水操作を自動化し、水管理を大幅に省力化。タイマー型、リモコン型、遠隔操作型の3つのラインアップで多様なニーズに対応。給水栓の開度、給水時間、カレンダー設定等の細かな水管理が可能。育成状況に応じて田面水位や地下水位を遠隔制御することで、農作業の負担を軽減し、大規模化による収量UPや高品質生産が図れます。

特長

  • 1.給水周期設定で給水開始時間をコントロール
  • 2.給水時間設定で給水時間をコントロール
  • 3.開度設定で給水量をコントロール
  • 4.動力はソーラー発電+バッテリー
  • 5.水位センサーで水位管理(オプション)
  • ●水管理の合理化・省力化により農地集積を加速し、経営の大規模化が図れます。
  • ●冷たい水を夜間に灌水し、高温障害による米の品質低下を防止します。
  • ●営農暦に準拠した間断かんがい等を確実に実施でき、米の品質向上が図れます。

多機能型給水栓 エアダスバルブ

特長

  • 1.バルブの開閉が容易
  • 2.ゴミが詰まりにくく、詰まった場合も取り出しが容易
  • 3.排気・吸気作用があります
  • 4.分岐口を活用し、水の多目的利用が可能
  • 5.水管理の合理化・省力化により、経営の大規模化が図れます

「水まわりくん」及び「水まわりゲートくん」に付随するシステム(ソフトウェア)の利用契約は、農林水産省による補助事業等の要件とされている『農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドライン』(令和2年3月12日農林水産省策定)に準拠していることを確認しております。

水(み)まわりくん+エアダスバルブ(多機能型自動給水栓 水田水管理省力化システム)の製品ページはこちら

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