国宝松本城天守の消⽕設備配管に
エスロハイパーAW消⽕管が採⽤︕
印刷版PDF(会員限定)Introduction
長野県松本市のシンボル、松本城。黒壁と白壁のコントラストが美しい天守は安土桃山時代末期から江戸時代初期に建造された現存天守の一つとして国宝に指定され、城跡は国の史跡に指定されています。 この歴史的遺産を火災から守る消火設備配管に、積水化学の消火設備配管用高性能ポリエチレン管「エスロハイパーAW消火管」が採用されました。 現場代理人の株式会社信越報知・高野様に、エスロハイパーAW消火管を採用された経緯やご感想を伺いました。
インタビュー : 2023年2月16日
Guest
株式会社信越報知 工事部 高野 様
Interview
継手のラインアップが採用の決め手!
国宝を火災から守るエスロハイパー
- –––––まず、信越報知様の事業内容と、高野様のご担当について教えてください
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高野様 : 当社は松本市に本社を置き、防災・防犯・通信の設備事業を行っております。事業内容は、地元を中心に消防設備や監視カメラなどのセキュリティシステム、通信設備の設計や施工、点検などを請け負っております。物件としては商業施設、工場、学校、集合住宅など多岐にわたって受注しておりお陰様で昨年は50周年を迎えることができました。私は工事部に所属しており、現場代理人としての工事の管理が主な業務です。
- –––––それでは、今回の工事の概要を教えてください
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高野様 : 消火ポンプ新設、消火水槽新設、消火管新設の工事です。その中で、新設したポンプ室から天守までの約70mの埋設消火管に125AのエスロハイパーAW消火管を使用しました。
松本城での防災設備工事は2021年度から始まっていて、今年度は2期目になります。フランスのノートルダム大聖堂や沖縄の首里城※といった文化財での火災が相次いだこともあり、設備の見直しが進められてきました。今回、歴史的遺産であり全国的にも有名な観光スポットでもある松本城の工事を担当させていただき、とても誇らしく感じております。
※2022年から始まった首里城の復興工事ではエスロハイパーAW消火管が採用されています。
- –––––昨年度から続く工事だったのですね
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高野様 : 多数の展示品がある天守2階にスプリンクラーヘッドを新設し、また屋内消火栓、屋外消火栓、自動火災報知設備を更新しました。昨年度の工事ではスプリンクラーは天守2階に配管、機器を設置するまでで、今年度に送水設備と消火配管を新設しスプリンクラー設備が完成する計画です。
- –––––エスロハイパーAW消火管が採用された経緯について教えてください
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高野様 : きっかけは、設計を担当された方が提案してくださったことです。昨年度の工事で屋外消火栓を入れ替えた際、短い距離ですが一部の埋設配管をSGPから更新し、そこで初めてエスロハイパーAWを知り採用することになりました。
当社は消防用設備の中でも火災報知器や消火栓など、屋内の設備を中心に取り扱っています。そのため屋外の埋設配管工事を担当するのは初めてで、一から勉強しました。ポリエチレン管を扱ったのも、その時が初めてです。
- –––––消火設備配管用ポリエチレン管の中で、積水化学のエスロハイパーAW消火管を選ばれた決め手は何だったのでしょうか?
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高野様 : エスロハイパーAW消火管を選んだ理由は、今回の工事に適したラインアップが豊富だったからです。
松本城は国宝に指定されている天守を始め、敷地全体が歴史ある史跡ですから、地中にも文化財が遺されている可能性があります。ですから基本的にはこれまでに工事したことのある範囲しか掘ることができませんし、掘削する際には必ず事前に届出を行う必要があります。限られた掘削スペースの中で配管しなければならないのです。
今回使用した125Aサイズは100Aなどと比べ、継手のラインアップがどのメーカーも少ないです。その中でも積水化学さんは125Aの継手が充実していたので、エスロハイパーAWを使用することにしました。例えば、配管を曲げたい時に生曲げでは足りないが、90度では曲がりすぎてしまいスペースがない――そんな時に、45度のベンドがあったお陰で対応できたということがありました。
- –––––製品の情報はどのように集められたのですか?
- 高野様 : ネットで検索し、複数のメーカーの製品を比較して検討しました。積水化学さんのWebサイトであるエスロンタイムズも利用させていただきました。目的の製品をすぐ見付けられましたし、カタログやCADデータをダウンロードすることもできたので使いやすかったです。
- –––––施工性や性能に関してのご感想を教えてください
- 高野様 : ポリエチレン管を使用したことがなかったので、融着による接合方法も初めて知りました。融着することで管と接手が一体化しますから、漏れがないというのは安心です。樹脂製なので腐食に強いことも大きなメリットだと思います。
それから、やはり金属管に比べて非常に軽いです。業者用の搬入場所から現場まで、職人の方が5m管を一人で担いで行っていたのが印象的でした。
職人の方々はEF接合による施工に慣れていて、エスロハイパーは水道分野でも使うことが多いという話もしていたので、広く普及している製品なのだと感じました。融着機による接合ですから、扱う人に関わらず同じ品質の施工ができることは、管理する側にとってもありがたいです。
- –––––お褒めいただきありがとうございます。製品に関してのご要望などはありますか?
- 高野様 : 初めての使用ということもありますが、やはり融着と冷却には時間がかかるという印象を受けました。ただ、慣れている職人の方々は作業の順番や休憩時間を考えながら上手に時間を使っていたので、そこまで気にすることではないかもしれません。
それと、ラインアップが多いことからエスロハイパーAW消火管を使用させていただきましたが、それでも「こんな継手があったら」と思うことはありました。継手の種類が増えればもっと自由度が上がって、配管がしやすくなります。
特に、水道用エスロハイパーJWのEFサドルのような継手が消火管にもあると、今回の現場では活躍したと思います。というのも、松本市は寒冷地なので凍結対策で水抜きをする必要があるからです。凍結深度よりも低い箇所の配管は問題ありませんが、立ち上げの部分は水が残っていると凍結してしまいます。そのため、配管の低いところに下向きにチーズを配管して、バルブを設置し、水抜きできるようにしました。
水抜きを設置する場所はより深く掘らないといけないのですが、先ほど言ったように掘削できる範囲には制限があります。設計段階で掘削許可が下りた位置では繋ぎ目に近すぎてチーズが接続できないことが分かり、設計をし直して対応しました。EFサドルのように好きな位置で分岐できれば水抜きが簡単となり、設計が楽になるのではないでしょうか。
消防認定を取得する必要がありますからすぐに品揃えを増やすことはできないとは思いますが、期待しております。
- –––––貴重なご意見をいただきありがとうございます。今後の工事でもエスロハイパーAW消火管を使用されることはありそうでしょうか?
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消火設備配管の工事を行う時には真っ先に検討させてもらいたいです。お話したように当社は建物内の設備を扱うことが多く、屋外の埋設消火管を施工することはまだ少ないです。今回、知ることができたエスロハイパーAW消火管のメリットを社内で共有することで、今後の工事でも最適なご提案ができるよう業務に活かしていきたいと思います。
–––––弊社もお客様のご要望にお応えできる製品開発を進め、文化財保護の一助となれるよう努めてまいります。本日はお時間をいただきありがとうございました
Products
今回ご紹介させていただいた製品
消火設備配管用高性能ポリエチレン管
エスロハイパーAW消火管・継手
製品解説–––––
エスロハイパーAW消火管・継手は耐食性、耐震性、施工性に優れ、最高使用圧力1.2MPaの条件下で、工場敷地内や屋外大型駐車場、マンションなどの屋外埋設消火栓設備配管をはじめ、屋内消火配管埋設用途、湿式スプリンクラー配管埋設用途、 湿式泡消火設備埋設用途(消火剤混合装置の一次側で水配管に限る)、湿式水噴霧配管埋設用途に使用できます。
呼び径50~200で(一財)日本消防設備安全センターの性能認定を取得しています。
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1.耐震性
高性能ポリエチレン管の高い柔軟性により、地震に強い一体管路を構築します。
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2.耐食性
ポリエチレン管は錆びることがなく、建物給水管などでも実績豊富。酸性、アルカリ性土壌でもOKで電食の心配もありません。
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3.施工性・省力化
軽量なため取り扱いやすく、施工効率がアップします。
適用範囲
適用消火設備- ● 屋内消火栓設備
- ● 屋外消火栓設備
- ● 湿式スプリンクラー設備
- ● 湿式水噴霧消火設備
- ● 湿式泡消火設備(消火剤混合装置の一次側の水配管に限る)
上記の埋設部を主とした水配管部分にご使用頂けます。
総務省消防庁よりの通知
〈令和2年 消防予第14号〉
樹脂管の使用が通知されました!
注)防火区画貫通部や火災時に熱の影響を受けるおそれのある部分では使用できません。
これ以降は会員の方のみご利用いただけます
会員登録済みの方
未登録の方
<営業担当から一言>
東日本支店 甲信営業所
喜多村 格
エスロハイパーAW消火管をご採用くださいました株式会社信越報知様、工事に携わってくださいました皆様、この度は誠にありがとうございました。
松本城は地域の方のみならず、全国のファンから愛されるお城です。かく言う私自身もお城好きの一人でありまして、間接的とはいえ今回の工事に関係出来ました事は、大変嬉しい出来事でした。
エスロハイパーAW消火管が松本城の防災の備えとして、耐震性、耐食性を活かし、長くその役割を果たしていく事を願っております。