大規模オフィスビル「ダイヤゲート池袋」に
クウチョウハイパーCHが採用されました

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西武鉄道株式会社の旧本社ビル跡地に建てられた大規模オフィスビル、ダイヤゲート池袋。
鉄道のダイヤグラムを想起させる特徴的な外観を持つこのビルに、クウチョウハイパーCHが採用されました。

ダイヤゲート池袋_メイン

インタビュー:2019年6月20日
株式会社日建設計 久保 洋香さん/山田 信幸さん
株式会社大林組  財木 陽平さん
株式会社九電工  橋爪 修彦さん


工事のあらまし

2020年を目前に控え、新たな変革の予感にあふれる東京の副都心、池袋。急ピッチで再開発が進む街に、新たなランドマークとなる高層ビルが2019年4月、開業しました。
ダイヤゲート池袋は、鉄道が通り抜けることが大きな特徴の大規模オフィスビル。西武池袋線を真下に臨む2階のダイヤデッキは、鉄道ファンのみならず近隣住民や働く人々の憩いの場となっています。
このビルに、積水化学の空調配管用高性能ポリエチレン管「クウチョウハイパーCH」が採用されました。
今回は設備を担当された、日建設計の久保さん、山田さん、大林組の財木さん、九電工の橋爪さんにお話を伺いました。

 名 称 :ダイヤゲート池袋
 規 模 :敷地面積 約5,530m2 延床面積 約49,661m2
      地下2階・地上20階建 ※建築基準法上
 発注者 :西武鉄道株式会社
      (事業代行:株式会社西武プロパティーズ)
設計・監理:株式会社日建設計
 施 工 :大林・西武建設工事共同企業体
      (空調・衛生:株式会社九電工)

池袋の新たなランドマークにクウチョウハイパーCHが採用!

まずはダイヤゲート池袋の新築工事についてご説明ください。
ここはまさに西武池袋線のターミナル駅。西武鉄道旧本社ビルの建て替え事業として、旧本社ビルの跡地に加え、線路上空及び線路西側の敷地を利用して建設されました。地下2階、地上20階建てのオフィス・店舗ビルで、高さが99.98メートル。最大の特徴は見てお分かりの通り、ビルが鉄道を跨いで建っていることです。2階デッキから電車を見下ろすことができますから、後で見に行きましょう。
どのフロアからも電車好きにはたまらない眺めですね。

鉄道が通り抜けている100m級の高層ビルとしては、駅舎建築を除いては日本初の事例です。
様々な諸制度を最大限活用し、鉄道上空にデッキを架けてその上に建築物を建てるという手法を採りました。どのフロアからも直下の池袋線や西側のJR線がよく見えます。
線路上空を活用できたことにより、池袋エリア最大となる約2,100m2のオフィス基準階面積を作ることができました。

2階ダイヤデッキ直下の西武池袋線2階ダイヤデッキ直下の西武池袋線
オフィスフロアから望むJR線オフィスフロアから望むJR線
線路の上を活用したことによるご苦労も多そうですね。皆様が関わられた設備の面では、線路をまたぐことで、他の現場と違うところはありましたか?
建設している最中は電車が運行している間は工事が出来ないですよね。ネジ一本落としても電車の運行に影響がでますから。配管での苦労と言えば迂回ルートを考えなければならないことでしょうか。 通常なら真っ直ぐ下まで配管するところを、線路の部分は当然、配管ルートを迂回しなければいけない。そういう点で大変でした。
設計図面通りにはいかないものですか?

皆さんそう考えがちですが、設計図だけでは現場は施工できません。実際に施工するための施工図など詳細な検討が必要です。わずかな違いが生じるだけで配管ができないことの連続です。そういうことを現場で一つ一つ解決していきます。それが設計者・監理者と施工者の腕の見せ所でしょう。施工者と一緒になって検討してルートを考えていると樹脂管の良さがわかってくるわけです。

株式会社日建設計 久保 洋香さん株式会社日建設計 久保 洋香さん
株式会社九電工 橋爪 修彦さん株式会社九電工 橋爪 修彦さん
空調配管にはクウチョウハイパーCHが採用されましたが、どのように管種を決定したのですか?

久保さん・橋爪さん クウチョウハイパーCHは知っていました。セキスイの営業さんから製品の特長を丁寧に説明頂きましたので、軽量性や施工性の良さなどについて認識していました。

橋爪さん 他の物件の横引き管でも使わせてもらっています。公的な施設だと仕様書があって、使える管種が決まっていたりしますが、民間施設ではその建物に合っていて、自分が良いと判断した管種を現場段階で新たに提案することもあります。今回は立管として75メートルを10系統配管しています。冷温水は温度差が大きいのでなかなか樹脂管ではできなかった。これが樹脂管でできるのは凄いことです。
今回は特別な条件があり、設備配管にかかる時間をできるだけ少なくしたかった。2ヶ月くらいで施工できましたが、樹脂管でなければその倍くらいはかかっていたと思います。

採用前に懸念していたことは?

ポリエチレン管は柔軟性がある分、管のたわみの心配がありましたが、セキスイさんの滋賀栗東工場を見学させて頂き、試験を自分の目で直接見ましたので安心しました。耐震性能の高さや、温水を流しても問題ないことにも驚きました。
一緒にお越し頂いた施主様にも好評でした。メンテナンスの観点では、サビや腐食がなくライフサイクルコストに優れる樹脂管には非常に興味を持って頂いています。あとは実際に各種性能を自分の目で見て納得してもらえば、資料を見て比べるより理解が早いと思います。

クウチョウハイパーCH 立管(保温材巻き付け前後)
クウチョウハイパーCH 立管(保温材巻き付け前後)
クウチョウハイパーCHを使って良かった点は?

橋爪さん やっぱり金属管とちがって軽量なのが良い。1階エントランス部分は天井まで高さが約10メートルあり、配管作業も高所での作業となりますから、パイプが軽いのは助かります。鋼管なら重機で吊り上げなければいけません。
接続も電気融着(EF接合)で簡単ですから、作業者の負担が少なくなりました。

山田さん ちょっとしたことでも軽さは大きな利点です。工事現場は日々やることが移り変わります。パイプの仮置きをしていますが、それがすごい量になる。工事の進捗に伴って現場確認を行いますが、その際に仮置きしてある資材が支障になることがあります。材料が軽ければすぐに移動して確認行為を続行することができますから、メリットを感じます。軽いことによる揚重施設や安全施設の省力化は工程の面においても寄与したと思います。パイプの軽さは、工場で実際に持ってみて実感できたことです。

久保さん メンテナンスフリー、更新寿命が長いことは施主様にも喜ばれます。配管だけでなく、建物全体の長寿命化に繋がりますから。施工中に限らず竣工後の運用段階のメリットも含めて提案しました。

株式会社日建設計 山田 信幸さん株式会社日建設計 山田 信幸さん
株式会社大林組 財木 陽平さん株式会社大林組 財木 陽平さん

EF接合についてはどうでしたか?

橋爪さん 職人さんたちからはわかりやすいという声が多かったです。専用の工具は必要ですが、操作も簡単ですし、施工講習をしてもらい安心できました。講習は時間がかかるかと思いましたが、今回は短時間で済んだので助かりました。長くても1~2時間というのはうれしいです。
EF接合の施工方法は空調でも衛生でも基本的に同じですから、エスロハイパーAWで慣れている人が同じように接続できるのでそれも大きなメリットでした。

財木さん 鋼管の施工はどうしても職人さんの腕に左右される。EF接合は機械で融着OK・NGを判断できるから、安心感があります。
ただ口径が大きいと融着時間もかかるので、電源の確保が課題でした。サンダーなど他の工具を同時に使っていると電圧が下がってしまい、融着不良を起こすことがありました。希望を言えば、電力供給が安定していなくても融着できて、もっと時間が短くなったら良いですね。

橋爪さん それからやはり軽いのでハンドリングが良い。鋼管だとネジ切りか溶接をします。油や火を使うので配管の中が汚れます。最終的にフラッシングするのに時間がかかります。それを考えたら口径にもよるかもしれませんが、今回の工事ではEF接合の方がよかったです。
今回は高層階でも使える給水立管でエスロハイパーAWHPも使いました。ただ、接続不良が起きないように対策として、融着作業は作業者を限定して二人で行いました。コントローラーで融着履歴を確認できるので、作業管理がしやすかったです。

機械室内配管(保温材巻き付け前)
機械室内配管(保温材巻き付け前)
機械室内配管(保温材巻き付け前)
クウチョウハイパーCHはどのような建物に最適だと思いますか?

100メートルくらいまでの高さの建物だったら圧力的にも最適ではないでしょうか。今回施工した機械室内での立管であれば、一直線で伸ばして施工できる。管自体が伸縮を吸収してくれるから伸縮継手も要らない。この現場にはぴったりでした。
立管で使用している長さではこのビルが最長なのではないでしょうか。これよりも高くなると圧力の問題がありますから、それがクリアされればもっと採用は多くなると思います。

その他、今回お使い頂きましたセキスイ製品はありますか?

他にも使わせてもらっています。さっきも言いましたが高層階用の給水立管にエスロハイパーAWHP、雨水排水に下水道用ポリエチレン管、排水にADスリム継手、空調でACドレンパイプ、トイレ大便器の排水立上り部に耐火VPも使わせてもらいました。耐火VPは耐火処理材なしで使用できて、作業者の負担がより軽くなりました。
設計では配管用炭素鋼鋼管となっていましたが、営業さんの丁寧な説明や工場見学を通して、今回の物件に適していることが確認できたので、採用に至りました。

クウチョウハイパーCHに対して今後の改善点を挙げるとすれば?

財木さん ライザー工法※ができればもっと効率が上がりますね。もちろん、構造設計への打診が必要ですし、費用の問題もありますが、選択肢が広がります。
※パイプシャフト内立管をユニットとして工場であらかじめ組立て、建物の建設に合わせて現場へ搬入し、据え付ける工法。

橋爪さん 継手のラインアップが増えれば、納まりがよく横引き管の自由度が上がります。

久保さん サイズアップもお願いします。そしてより高い圧力でも使用できるようにしてほしい。高層ビルなど採用可能な範囲が広がります。
それから、今回は滋賀栗東工場で見学させて頂きましたが、近場でも見学できる実験施設があると良いです。資料だけでなく、実物に触れるのが一番わかりやすい。配管の性能を直接見て実感できる機会が増えれば、採用もしやすくなると思います。

現在、見学施設の更なる充実化を図っており、実際に製品を見て、実感して頂けるように取り組んでいます。もうしばらくお待ちください。
本日は長時間ご協力くださいまして有り難うございました。

今回ご紹介させていただいた製品

金沢大学クウチョウハイパー記事

製品解説

空調配管用高性能ポリエチレン管クウチョウハイパーCHは、冷温水用途に最適のポリエチレン管です。耐久性・耐食性に優れるため腐食や漏水の心配がないうえ、軽量でスピーディな施工が可能です。
冷温水枝管のスーパーエスロメタックスFCや冷却水管のエスロハイパーAWなどと合わせ、オールプラスチックの一体化ライン構築を実現します。

特長

●経年劣化による内面の腐食と漏水の心配がありません。
●ポリエチレン管は錆びることがなく、水道本管などでも豊富な実績を持っています。
●管と継手の接合は信頼のEF接合(ねじ切りや溶接の作業は不要)。
●軽量でスピーディーな施工が可能(100Aで重量はSGPの約1/3)。

クウチョウハイパー参考質量比較

空調配管用高性能ポリエチレン管 クウチョウハイパーCHの製品ページはこちら

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