県住行田門井団地の排水設備に耐火VPパイプ、
耐火プラAD継手などが採用!
印刷版PDF(会員限定)埼玉県では県内各所にある小規模団地などを集約し、中核団地として再整備する建替え事業に着手しています。今回取材した行田門井団地もその一つ。順次立替えを進行中。その排水管で耐火VPパイプが採用されました。
インタビュー:株式会社深井設備工事 浪崎 憲治さん
工事のあらまし
行田門井団地は建物が老朽化し、その対応が必要であること、また埼玉県の進める中核団地としての再整備事業で建物の建替えを棟毎に順番で行っています。
工事建物:鉄筋コンクリート6階41戸
発 注 者:埼玉県
工 期:平成28年3月~平成29年5月
設 備:(株)深井設備工事
本団地建替えにあたって、排水設備で耐火VPパイプが採用されました。耐火VPパイプについて設備を担当された(株)深井設備工事の浪崎課長にお話を伺いました。
- 排水設備で耐火VPパイプを使われた経緯を教えてください。
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我々は埼玉県の県営施設(団地や学校など)の設備工事をやらせていただいています。今回の排水設備の原設計は耐火二層管でした。パイプシャフトのたて管で、ユニットバス、トイレ、洗面などを1系統に集約する設計になっています。消防法で防火区画貫通部から1mのところは耐火パイプを使う必要があります。
だから耐火VPパイプSを使おうというのは初めからありました。今まで何回も使っていますから、その良さは十分わかっています。そして、県の担当者に「積水化学には耐火VPパイプの集合管(耐火プラAD継手)もありますよ。やっていいですか」と話を持ち掛けました。
『積水化学の工場で見学会をやる』ということで見に行きました。我々は七里団地の設備も担当したんですけど、当時の県の担当の方も来ていましたよ。みんな良い製品の情報を探しているんです。県の方々は設備業者の意見はしっかりと聞いて、いい製品は説明すればわかってもらえます。そして耐火VPパイプSを排水設備に使うことになりました。耐火VPパイプSの『S』は遮音性の『S』でしょ。集合管(耐火プラAD継手)は排水の音が当然気になりますからね。耐火二層管と同等の遮音性能がVP管と同様の樹脂管で実現できることはありがたいですよ。
- 施工はいかがですか?
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耐火二層管は重いし、粉塵や騒音が出るので面倒なんです。工事に関しては近隣協定がありますから、ご迷惑を掛けないように注意しなくてはいけません。平日の8:00~18:00までしか工事は出来ませんから施工のスピード感も重要になってきます。
そういった条件を考えた時に耐火VPパイプSはいいですよね。職人だって1級技能士などの資格を持っているのは年配の方が多くなっています。よく言う作業員の高齢化ですよね。だから施工のスピード感を出すために製品の軽量化は非常に大事ですよ。VP管と同じ施工でいいのもうれしいです。
細かいことですが耐火二層管だと目地の隙間をどうする?といった問題も起こってしまいます。耐火VPパイプSならそういった問題もありませんから、本当に現場レベルでは有り難いです。結局そういった現場レベルのことが建物に大きな影響を与えることになるので。
兎に角、配管が面倒ではないし、間違えることもないし、だから手間取らない。耐火二層管だと差し込み代の寸法を間違えるなんて可能性もあります。管を階段とかロングスパンエレベーターで運ぶ時にも耐火二層管だと職人が持てて2本です。ラクに2、3本持てる耐火VPパイプとは全く違います。
集合管(耐火プラAD継手)もいいですね。軽いし、パイプシャフトの中で接続作業をするのに非常にラクにできます。狭い場所での作業で配管スペースも十分に確保できないので樹脂の集合管(耐火プラAD継手)は便利ですよ。
- 設計上で耐火VPパイプSのいい点は?
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給排水、電気、ガスなどすべてをパイプシャフトに入れるのでとにかく狭いんです。スリーブ口径が175から150にできる。一般の人は『それがそんなに違うの?』と思われるかもしれませんが、施工者にとっては大違いなんです。
例えば、柱と梁の間が400mmしかない。その中に排水、給水、ドレン、電気など6本入れなければいけない。そして躯体には鉄筋が200mmピッチで入っている。鉄筋を切断したら補強筋を入れなければいけないし、躯体にとってもいいことはない。そうした状況ではスリーブ口径が小さくできるだけであらゆることが解決します。
スペースがないとは、そういうことなんです。例えば鉄筋が下から上がっている。口径125mmだと鉄筋の間を通すのが厳しいが、100mmだと大丈夫だったとします。外径の大きい耐火二層管だとアウトで外径の小さい耐火VPパイプSだとOKなんてことの連続です。耐火二層管は外管の分だけ外径が大きくなり、その分スリーブ径が大きくなったり、鉄筋を切ったりして建物の躯体への影響も大きくなります。
また遮音カバーを付けることで、耐火二層管と同等の遮音率になるので今後暮らしていく方々にも安心して提供できます。
- 今回の施工でのポイントは?
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今回は掃流性をアップさせるために勾配を少し大きめにつけています。
1/100のところを1/90にしています。だからなおさら耐火VPパイプでないと勾配がつけられない。耐火VPパイプなら耐火二層管ではできないような余裕もできるのがいい。
また流しの排水管は透明パイプにしました。そうすれば詰まったときとか排水管の中の状況が見えるじゃないですか。そうすればきっとみんな丁寧に使ってくれると思うんです。
こういった小さなことでも我々がいいと思ったことは県の方に提案していきます。実際にこれから先ずっと住む方のことを考えたら、プロとして提案しなくてはいけないところは提案します。それがプロ意識ということだし、世の中、悪い話はすぐに広まるので、見過ごすことはできません。
- 経験と知識がないとなかなか提案はできませんね。そういった知識をどうやって広めたらいいでしょうか?
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なかなか若い方が我々の設備業界に入って来たがらないのも現状です。年に何回か施工現場の見学会を依頼されます。ものづくり大学や浦和工業高校の先生から『生徒に見せたい』と依頼を受けますので、現場見学会を開きます。普段見られない現場なので、詳しく説明すると生徒たちは興味を持って聞いてくれます。
見えないところが見えるのが面白いのだと思います。生徒も喜んでいました。以前には給食室の地下ピットに入れて見学会をしたこともあります。我々の仕事は専門的で非常に面白いと思いますけどね。電気の図面とか部屋の図面とかを見せると、生徒は「どうやって描いているんですか」と質問が来る。実際そういう図面は描いたことがないのだろうから興味があるんですよ。そこで思ったのは耐火VPパイプの簡易実験装置があれば、見学会の時に見せれるからいいなあ、と思います。燃やして実際にコンクリートが閉塞するところを生徒たちに見せたら非常に面白いと思います。簡易ボックスを作って見せてあげたいですね。
- なるほど、それは面白いですね。
製品開発への要望などがありましたらお聞かせください。 - 長さに関して要望があります。マンションだと現在は集合管がメインとなってきています。通常は3m管ですよね。フロアの高さが2.9m。でも集合管の長さがあるため、実際に使うパイプの長さは2.2mくらいです。3m管だとなんだかんだ言って70cmくらいの端材がでてしまう。70cmの端材は厳しい。余りを少なくするよう直管の長さを変更してほしい。2.5mくらいのパイプでいい。階数が多いと余りの本数も多くなりすぎるからね。やっぱりたて管の途中でソケットは使いたくない。1フロア1本でいきたいからね。
あと遮音カバーも別売りにしてくれると有り難いです。
貴重なご意見をありがとうございます。ご要望にお応えできるようしていきたいと思いますので、今後とも宜しくお願いいたします。
今回ご紹介させていただいた製品
建物用耐火性硬質ポリ塩化ビニル管・継手 エスロン耐火VPパイプ
製品解説
積水化学の開発した耐火テクノロジーにより塩ビ管がさらに進化! 熱によりパイプの中間層が膨張し、貫通部からの熱気の浸入を遮断。火災の際の延焼を防止します。排水管・通気管の施工において従来、手間のかかっていた区画貫通処理も不要。スピーディな施工と確かな安心を実現する耐火VPパイプは適用範囲を広げ、さらに使いやすくなりました。プラスチックのパイオニア、エスロンパイプはこれからも進化し続けます。
特長
1.耐火DV継手は耐火VPパイプとの組み合わせで確実に延焼を防止。
2.従来の塩ビ管と同等の取り扱いが可能。
3.防火区画の貫通がパイプだけで可能。
耐火VPパイプS+耐火プラAD継手
【軽量】
耐火プラAD継手、耐火VPパイプSは従来品より軽量!運搬もラクラク!
【耐食性】
排水で実績のある硬質ポリ塩化ビニル樹脂で、錆は発生しません。
【易施工性】
1.防火区画をそのまま貫通可能!
2.上部、横枝接続はゴム輪ワンタッチ。熱伸縮の吸収も行います。
3.遮音システムも選択可能。
4.横枝管には、硬質ポリ塩化ビニル管と同寸法の耐火VPパイプ、立て管には被覆カバー付耐火VPパイプSを接続。
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