新製品『クウチョウハイパーCH』
リーガロイヤルホテル京都の大規模改修工事に採用

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空調配管用高性能ポリエチレン管「クウチョウハイパーCH」

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京都の風情と現代的デザインの融合をコンセプトに実施された「リーガロイヤルホテル京都」。大規模改修工事の現場はまた“建物配管のオールプラスチック化”という大きなテーマの実現に向けて忘れられない現場となった。
というのもその冷温水配管の横引支管と立て管に積水化学が新たに開発した空調配管用高性能ポリエチレン管「クウチョウハイパーCH」(60°C 対応の特殊高性能ポリエチレン管の外面をバリア層=酸素透過抑制=、内面をガラス繊維複合高密度ポリエチレン=低伸縮=で覆った三層構造の管)が採用され、オールプラスチック配管に向けての空白部分がまた一つ埋まるとともに、この全国初のメモリアルな現場においてクウチョウハイパーCH の施工性、経済性など使い勝手の良さが証明されたからである。
そのリーガロイヤルホテル京都の冷温水配管のリニューアル工事を担当なさった須賀工業株式会社京都支店工事部の高瀬俊昭部長さんを訪ね、クウチョウハイパーCH 採用の経緯と施工性についてお話をうかがった。

冷温水配管用のポリエチレン管登場 !!

リーガロイヤルホテル京都は大阪万博の前の年(1969 年)にオープン。JR 京都駅の西側、徒歩で5〜6分という立地の良さからビジネスまた京都観光の拠点として活躍してきたホテルと記憶していますが、そのホテルの大規模改修工事のうち冷温水配管リニューアルの概要についてお聞かせください。
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「リーガロイヤルホテル京都の客室数は489。その客室用ファンコイルユニット(以下FCUと略)をヒートポンプ機能付きのものに入れ替えるとともに、冷温水配管の殆どすべてをプラスチック管でリニューアルしました」

ヒートポンプ機能付きのFCUですか?
「小型のヒートポンプを備えたFCU で、2管式の冷温水を熱源として熱交換することにより部屋ごとに個別の冷暖房を行えるシステム。
お客様のニーズによりきめ細やかに応え、快適なホテルライフを過ごしていただくために導入なさったものです」
寒い暑いは人それぞれ、個別空調機能があるのはいいですね。そのヒートポンプ機能付きFCU まで冷温水配管の殆どをプラスチック管でということですが、その内容をもう少し詳しくお話しください。
「リーガロイヤルホテル京都の客室は3階から10 階までの8フロアーにあり、ここに47のシャフトがあって客室のFCU に冷温水を供給している。
その冷温水をつくりだす熱源回りにSGP が残っているのですが、

そこから先はすべてプラスチック管で、地下1階の配管(200mm)から2階天井部の横引支管と3階部分の立て管(150mm)に積水化学の空調配管用高性能ポリエチレン管「クウチョウハイパーCH」を採用しました。

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さらに3階部のクウチョウハイパーCH から先の立て管とFCU までの枝管に16~50mm
の金属強化ポリエチレン管「スーパーエスロメタックスFC」を用いることで、できるかぎり
のオールプラスチック化をはかったということです」

プラスチック配管のメリット

熱源との接続部を除いて積水化学のプラスチック管をご採用いただいたわけですが、冷温水配管におけるオールプラスチック化へのこだわりというか、プラスチック配管のメリットについてどのようにお考えなのでしょうか。

「例えばこの現場の冷温水配管をすべて鋼管で行ったとします。いや、この現場の冷温水配管をすべて鋼管で行えるかというと、工期と現場環境の関係で極めて困難であり非現実的なのですが、信頼度という点では高評価の鋼管ネジ接合や、フランジ接合で施工していたならという話です。

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その場合、地下1階部分は他の管と管の間に配管するようなかたちでの施工となるため、材料の重量の問題もあり、5500mm(口径200mm の鋼管)のままで施工することができず、1500mm 以下に切っての配管を余儀なくされるところでした。
1本あたりの管の長さが短くなるということは、接合箇所が増えるということ。ネジやフランジ接合そのものの信頼性は高くても施工の手間が増えることは避けられない。
さらに心配なのがFCU 熱交換部への影響。接合箇所が増えることで、配管内に鉄粉などが残る可能性が高まり、熱交換部の腐食や摩耗につながらないかということです。

もとより不純物を除去するためのストレーナーがあり、試運転の間に配管内に混じったゴミを取り除くのですが、この現場だと500 箇所を超えるストレーナーを一つ一つあけて点検する必要がある。
また現場溶接施工をとっていると、点検・掃除の手間はネジ接合以上のものになる可能性があったといえるでしょう。
その点、融着接合により管路を一体化できるクウチョウハイパーCH なら接合箇所の信頼度も十分。腐食の原因となる鉄粉が混じるようなこともない。
さらに地下1階部に用いた200mm の配管を5.5m の鋼管で行うとすると、その重量は約165kg。それが、今回用いたクウチョウハイパーCH なら70kg 程度。多くの配管が錯綜する現場での搬入・施工作業にとって、この重さの違いは大きく、クウチョウハイパーCH でなら定尺5m のままで施工できることとあいまって作業効率に跳ね返ってくる。

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また3階部の立て管(クウチョウハイパーCH)からFCU までの配管に用いたスーパーエスロメタックスFC の施工性の良さはいうまでもなく、ちょっと大柄な作業者なら身体を入れることさえ困難な現場でも安全確実に施工することができました」

防火区画貫通はフィブロックの一巻きで

3階部のクウチョウハイパーCH からFCU までの配管にスーパーエスロメタックスFC ということですが、スーパーエスロメタックスFC の防火区画貫通部の処理はどのように。
「クウチョウハイパーCH と同様、スーパーエスロメタックスFC の防火区画貫通も熱膨張耐火材フィブロックを一巻き。どちらも保温材の上から巻くだけでいいので防火区画貫通処理も楽にできるのがいいですね」

待ち望んでいたクウチョウハイパーCH

須賀工業さんはスーパーエスロメタックスFC を積極的にご採用いただいているとお聞きしておりますがクウチョウハイパーCH は新製品。今回のリーガロイヤルホテル京都が全国初の現場となったわけですが、そのご採用までの経緯をお聞かせいただけますか。

「須賀工業がリーガロイヤルホテル京都のメンテナンスを担当させていただいていたこともあり、配管のオールプラスチック化がメンテナンスやFCU 熱交換部にとって望ましいことを施主様に説明し、ご理解をいただきました。

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またオールプラスチック配管は今回に限らずかねてからの理想だったのですが、温度差に曝される冷温水管に通常のポリエチレン管、例えばエスロハイパーAW のような管を使うことができず、60°C までの温度に対応できるクウチョウハイパーCH の登場によってはじめて冷温水管のオールプラスチック化が可能になったといえます。

ですからクウチョウハイパーCH の登場とリーガロイヤルホテル京都の大規模改修工事のタイミングが偶々重なったというのが私の率直な印象で、全国初の現場といった気負いはありません。
また、水道本管や建物配管に融着接合により管路が一体化できるエスロハイパーが広く使われていることも施主様のご理解をいただく要因の一つになったといえるでしょう」

クウチョウハイパーCH とスーパーエスロメタックスFC の管路なら施工時はもとより経年変化で錆が混じる心配がなくてFCU 熱交換部を腐食や摩耗から守ることができ、メンテナンスの面からもオールプラスチック配管が望ましいということですね。ところで須賀工業さんはプレハブ配管に注力されており、この現場についても自社の加工場でプレハブ加工したものを持ち込んで施工なさったということですが。
「この現場でいえば摂津市鳥飼の加工場でスーパーエスロメタックスFC をプレハブ加工、搬入することで現場での作業効率を高めています。また当社には筑波にも加工場があり、プレハブ加工による利点を活かすことで多くの実績をあげています」
スーパーエスロメタックスFC は随分前からお使いいただいているとのことですが。
「私がスーパーエスロメタックスFC をはじめて使ったのは8 年ほどの昔、病院のリニューアルでのこと。その後、病院での工事などにスーパーエスロメタックスFC を使いつづけています。冷温水の枝管は線膨張によって引っ張られ、継手が割れることが懸念されますが、可とう性があるスーパーエスロメタックスならそのような心配がないのもいいですね」

給排水やユニットバスにもプラスチック管

リーガロイヤルホテル京都の大規模改修工事が始まったのが今年2 月でグランドリニューアルオープンが9 月。この間に535 台のFCU をヒートポンプ機能付きのものに入れ替え、2 管式の冷温水配管をクウチョウハイパーCH とスーパーエスロメタックスFC でリニューアルされたわけですが、配管のオールプラスチック化ということなら他にもあると思うのですが。
「排水管リニューアルにエスロン耐火VP、給水管にエスロハイパーAW、ユニットバス回りにエスロペックスなど、プラスチック化が可能なところはエスロンのプラスチック管でリニューアルさせてもらいました」
ありがとうございます。理想となさっておられるオールプラスチック配管のお役に立てて嬉しく思います。ところでクウチョウハイパーCH の経済性について、どのように評価なさっておられますか。
「まだ数字を詰めていませんが、先程お話しした地下1階の横引支管(200mm)でいうと接続と養生を合わせた工数が鋼管の半分。
この工数削減の効果を加味すると管そのものが鋼管より高くても十分に採算が合い、これからもクウチョウハイパーCH を使っていきたいと考えています。
立て管についても同様の結果になると思いますが、なによりもまずクウチョウハイパーCHとスーパーエスロメタックスFC がなければ工期内に仕上げることが困難な現場であったとの印象を持っています」
ここでリーガロイヤルホテル京都へのクウチョウハイパーCH 納入について流通面から強力にバックアップしていただいた株式会社仲啓(京都市南区吉祥院石原京道町)の仲 一朗社長さんのお話をうかがいたいのですが。
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「デリバリーに携わっている我々代理店としてもポリエチレン管は扱い易い製品。
鋼管なら重機が必要になる口径でも、重量が2分の1、3分の1で済むクウチョウハイパーCH やエスロハイパーなら人力での扱いが可能で、作業の安全性も高まる。
錆など水質クレームの心配がないオールプラスチック配管の普及をこれからも応援させていただくつもりです」

ありがとうございます。これからもクウチョウハイパーCH をはじめ、積水化学のプラスチック管材をよろしくお願いいたします。


今回ご紹介させていただいた製品

空調配管用高性能ポリエチレン管 クウチョウハイパーCH

製品解説

空調配管用高性能ポリエチレン管クウチョウハイパーCHは、冷温水用途に最適のポリエチレン管です。耐久性・耐食性に優れるため腐食や漏水の心配がないうえ、軽量でスピーディな施工が可能です。
冷温水枝管のスーパーエスロメタックスFCや冷却水管のエスロハイパーAWなどと合わせ、オールプラスチックの一体化ライン構築を実現します。

特長

  • ・経年劣化による内面の腐食と漏水の心配がありません
  • ・ポリエチレン管は錆びることがなく、水道本管などでも豊富な実績を持っています
  • ・軽量でスピーディーな施工が可能(100Aで重量はSGPの約1/3)
  • ・管と継手の接合は信頼のEF接合(ねじ切りや溶接の作業は不要)

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ハイパーCH

金属強化ポリエチレン管 エスロンスーパーエスロメタックス

製品解説

エスロンスーパーエスロメタックス管はプラスチックと金属管のメリットを併せ持った管材です。内層には高耐熱ポリエチレン樹脂、外層には高密度ポリエチレンを採用し腐食の心配がありません。また、アルミ補強層により施工時に管の曲げ加工をおこなった形状を保持する事が可能に!
耐熱・耐食・施工性に優れ長期にわたって安心してご使用いただけます。

特長

  • ・高温・高圧領域で使用できる
  • ・柔軟で耐震性にも優れる
  • ・酸素透過はありません
  • ・自在な曲げ配管

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メタックスFC

建物用耐火性硬質ポリ塩化ビニル管 耐火VPパイプ・継手

製品解説

耐火VPパイプは、三層構造の塩ビ管で、内外面の硬質ポリ塩化ビニル層と、高温になると大きく膨張し断熱・耐火層を形成する特殊配合の中間層からなる、業界初の耐火性プラスチック管です。パイプ同士をつなぐ耐火DV継手にも独自の燃焼遅延配合を採用しています。
建築物の防火区画の貫通部分に耐火VPパイプと耐火DV継手を組み合わせて使用することにより、耐火被覆処理などを施さなくてもプラスチック管のみで火災時の延焼を防ぐ画期的な塩ビ管材です。

特長

  • ・防火区画の貫通がパイプだけで可能
  • ・従来の塩ビ管と同等の取り扱いが可能
  • ・継手との組み合わせで確実に延焼を防止

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耐火VP

建物配管用耐震型高性能ポリエチレン管 エスロハイパーAW

製品解説

エスロハイパーAWは、優れた特長を有する高性能ポリエチレン製の水道用管材です。
ポリエチレン管ですので腐食や赤水の心配がなく、長期間にわたって安全な水を供給できます。また素材の高密度ポリエチレンは柔軟性が高いうえ、管と継手をEF接合で完全に一体化できるため地震動にも強く、安心のライフラインの構築が可能。さらに軽量で施工性にも優れ、配管工事のトータルコスト削減にも貢献します。

エスロハイパー

特長

  • ・高耐久で腐食・赤水無し
  • ・高い柔軟性とEF接合で優れた耐震性
  • ・軽量・易施工でコスト縮減に効果
  • ・豊富な品揃えで一体管路を構築

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架橋ポリエチレン管 エスロンエスロペックス

製品解説

エスロペックスは住宅用の給水・給湯用配管として錆や腐食の心配がなく衛生的な配管材料です。また、柔軟性に富んでおり継手なしで曲げ配管ができるため施工が早く簡単です。

エスロペックス

特長

  • ・高温領域で安定して使用出来ます
  • ・耐食性に優れ、衛生的です
  • ・柔軟性に富んで、施工が簡単です
  • ・長尺で軽量、経済的です

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熱膨張耐火材 区画貫通用テープ フィブロック

製品解説

セキスイ熱膨張耐火材「フィブロック」は配管が区画貫通する部分に1巻きするだけの簡単な作業でスピーディーに施工できる製品です。

特長

  • ・管に巻くだけで防火区画処理ができます
  • ・用途に合わせて各種配管・各サイズに対応します
  • ・国土交通大臣認定および( 一財)日本消防設備安全センター評定を取得しています

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フィブロック

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