松本市美術館の改修工事における
排水配管と空調配管の更新に、積水の樹脂管材が採用！

トータルコスト・施工の省力化が評価され採用へ

———まず須賀工業様、大和ホーム工業様について教えてください。

近藤様：私ども須賀工業では、給排水の衛生工事、空調設備など施設全般の施工管理業務をさせていただいています。民間・公共別け隔てなく受け持っています。お陰様で明治34年の創業以来、120周年を迎えることが出来ました。

横澤様：大和ホーム工業は地元の松本市を中心に空調・給排水衛生設備や水道土木工事の設計・施工管理を行っています。
物件も、官公庁などの公共から民間の個人住宅まで様々です。
松本市美術館は地元の一大文化施設で 、1年間の休館は寂しいですが、工事現場の仮囲いには芸術家の草間彌生さんなど、松本にゆかりのある方の作品が描かれていて、見る人が楽しめるようになっています。
リニューアルオープン後に市民の皆さんに喜んでもらえるように、日々工事を進めています。

———では、工事について詳しく伺います。今回は排水管に耐火VPパイプ、空調配管にスーパーエスロメタックスFC、ドレン配管にACドレンパイプと、様々な積水化学の樹脂管材を採用いただきました。まずは耐火VPパイプについて、採用されたきっかけを教えてください。

横澤様：きっかけになったのは、積水化学の営業さんが 現場事務所を訪ねて耐火VPパイプを紹介してくれたことでした。
元々の設計では排水管はDVLP（排水用ライニング鋼管）を使用する予定でしたが、様々な比較検討の結果、耐火VPパイプ を採用することになりました。運命かと思える巡り合わせのいいタイミングでしたね。

———どのような比較検討がされたのでしょうか？

近藤様：積水さんの提案を基にDVLP＋保温に変わるVE案として耐火VPパイプを松本市様に比較検討していただきました。
実は耐火二層管も候補として上がっていました。DVLPより軽いので施工性は悪くないのですが、パイプと継手の隙間に目地施工が必要なケースが有るので、より施工管理がしやすい耐火VPパイプが有利と考えました。
一部を除いて保温工事が不要であること、製品本体の重量が軽く取り回しが良いこと、施工時に粉塵の発生が無いこと、施工の省力化を図れることなど、総合的に判断して耐火VPパイプの採用が決まりました。

———松本市様にご納得いただけた、その決め手は何だったのでしょうか？

近藤様：まずは、しっかりと松本市向けの防露性能資料として、数値を示していただけたことです。汎用的な資料でなく、寒冷地である松本の環境に合わせた資料を提示してくれたので、とても参考になりました。
ただ、国土交通省仕様書に記載のある部材であれば、もっとスムーズに変更となっていたかもしれません。DVLPや耐火二層管は仕様書に記載があるのですが、耐火VPパイプは記載されていません。
記載があれば、最初から採用は耐火VPパイプだった可能性もありますね。今後は記載されるようにぜひもっと実績を積んでいってほしいと思います。

横澤様：弊社でも、今回の工事でコストや施工性のメリットが分かったので、今後採用していきたいと考えています。

———美術館での改修工事は、他の施設と比べて気をつけるべき点はありますか？

近藤様：まず松本市の特色として、寒冷地ですので保温対策については気をつけるようにしています。美術館としては、収蔵されている美術品は、温度・湿度の管理が必要ですので工事中でも空調を止めることができません。なので空調配管を更新するときには入念な計画と工夫が必要になります。

———耐火VPパイプを保温巻きされている箇所もありますが、どういった理由からでしょうか？

近藤様：耐火VPパイプは今回、約100mほどの長さを配管しています。耐火VPパイプを採用した部分は保温をしませんでしたが、冷水器につながる枝管は夏場の温度差を考慮して保温を巻きました。

———寒冷地でも耐火VPパイプなら保温なしでも心配はないとの判断でしょうか。

近藤様：これは積水さんから出していただいた松本市向けの防露性能資料により問題が無いことが確認できたので、安心して採用できました。DVLPでは保温巻きが必要でしたから、施工の手間や期間を考えると大規模な施工になるほど、その効果は大きくなると感じました。
お陰様で計画通りの期間・予算での施工を行えました。

———耐火VPパイプ以外にも空調配管もご採用いただいていますが、そちらについてもお話をお聞かせください。

近藤様：先程も触れましたが 、美術館に収蔵されている美術品は、温度・湿度の管理が必要のため工事中でも空調を止めることができません。
美術館の収蔵庫は1階と3階にありますが、空調の熱源は屋上にあります。設計では既存の配管を利用して空調する計画でした。しかし3階はそのままの配管で問題ありませんでしたが、使用する仮設ポンプの容量では1階収蔵庫への空調がうまく機能しない恐れがあることがわかりました。
そこで急遽、1階の空調機を生かす為に仮設空調配管を設置することになりました。それらの条件を満たし一番安全で楽に配管できるのはなんだ。と考えたときに保温材付きのスーパーエスロメタックスFCを採用することになりました。
屋上からの配管で、通常の用途とは異なりますが、スーパーエスロメタックスFCの柔軟性と施工性があったからできたことですね。

———スーパーエスロメタックスFCの施工性はいかがでしたか？

近藤様：ネジ切りがないことは非常に楽だったと思います。ざっくりと考えても3~4倍程度の施工工程に差がでるのではないでしょうか。
こんなことを言うと怒られるかもしれませんが、スーパーエスロメタックスFCの方が正直値段は高いです。ですがトータルで考えると施工的なメリットが大きいことによって助かる場面がたくさんありました。仮設配管の長尺管はその良い例だと思います。

———ACドレンパイプもご採用いただいておりますが、ご採用の経緯をお聞かせください。

近藤様：易施工であるということが第一にありました。設計仕様では鋼管＋保温巻きでした。ですがACドレンパイプなら保温巻きの手間をまるっと無くすことができます。材料費が多少増えてしまっても、施工性により工期を短くできることでトータルで良いことが多く、施工性のメリットは大きいと感じています。

横澤様：施工の省力化をどこまでできるか。それはずっと続く課題になっているんです。

近藤様：そうですね。現場は品質を保った上でスピードが命、といったところがありますから。

———メタキュットREDもご採用いただいたと聞きました。施工性などいかがでしたでしょうか。

横澤様：施工性が良いというのはもちろんですが、今回、特に評判がよかったのは、 施工済みか締め忘れかを識別しやすい。というところです。カシメると赤いリングが取れてなくなるのが、非常に分かりやすい。

近藤様：メタキュットREDのさらに良い部分がありまして、こういったカシメて使う継手は、カシメ忘れによる漏水事故が非常に怖いんです。類似品であったのは、カシメ忘れているけど水圧試験では漏れない。そして 時間がたってから漏水が発覚する。というケースです。
「赤いリングと水圧試験で、2重のチェックができる」とカタログにも書いてありましたが、メタキュットREDの利点は、“カシメていない箇所はちゃんと漏れてくれる”ということです。人の手による施工ですからミスは起きる可能性も無いとは言えません。
そのミスの発見を製品がフォローしてくれるという点が高評価でした。漏水事故が起きてからではお客様に多大な迷惑を掛けてしまいますからね。
メタキュットREDの他、耐火VPパイプ、ACドレンパイプでも漏水には細心の注意を払っていて、接合した継手にはすべて、点検者の名前を記入した管理用シールを貼り付けているんです。

———確実な施工管理に貢献することができ、何よりです。では、積水化学製品へのご要望等はございますでしょうか。

近藤様：今回の現場には関係ないのですが、クウチョウハイパーCHについて。ポリエチレン管ですので切削してから融着という流れなのですが、切削する際の「外被」部分が固くて滑ってしまい、スクレーパーが空回りして切削が不十分になってしまうことがあるので、簡単にスクレープできるよう改善してほしいですね。ただ、外被を固くすることでパイプの伸び縮みを軽減していることも承知していますので、難しいところですね。上手い具合に 改良の検討をお願いします。
あと、継手のカラーバリエーションも増やしてほしいと感じています。区画貫通したときに継手だけ見えていると、管の色分けが見えないんです。クロスコネクション防止は我々の最重要項目なんです。良い製品なので期待しています。

———最後に、今後積水化学からの情報提供の方法などでご要望はありますか？

近藤様：当社の場合であれば各支社店単位で「工事部会」という会議を定期的にやっていまして、工事部員が基本的に全員参加しています。製品紹介など情報共有の場でもあるので、そういった集まりにアポイントを取って、直接みんなの前で製品を紹介していただけると、注目して聞いてくれると思いますよ。良い製品であれば、積極的に採用したいですから。ウェブセミナーや動画配信なども、知っている製品の情報を確認する手段としてはとても良いのですが、知るきっかけとして大きいのは、今回のように営業の方が足を運んでくれることだと思います。

———貴重なご意見をいただきありがとうございます。耐火VPパイプの国土交通省仕様書の掲載について更に励んで取り組んでまいります。さらに、施工管理者様、施工業者様が安心して使用できる製品づくりを心がけてまいります。

本日はお忙しいところお時間をいただきましてありがとうございました。