福島大学 給水用・消火用埋設配管の改修工事で
エスロハイパーAWが採用!

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国立福島大学の学生寮系統埋設配管改修工事でエスロハイパーAWが採用されました。改修に至った経緯やエスロハイパーAWを採用するまでの経緯などを福島大学施設課の渡部係長にお伺いしました。

インタビュー:2020年7月29日
福島大学 施設課 渡部係長(コロナ禍のため、初めてのオンライン取材となりました)


工事のあらまし

国立福島大学の学生寮系統埋設配管改修工事において給水管・消火管として全長600mにわたってエスロハイパーAWを初採用。今回インタビューさせていただきました施設課の渡部様は2020年2月に千葉ソリューションセンターにて開催のオープン視察に参加され、エスロハイパーをはじめ、耐火VPなど最新の高機能管材のモデル配管や施工実演をご覧いただきました。この度のインタビューでは、エスロハイパーご採用までの経緯、施工時の感想、またオープン視察で実際に製品の実験などを間近で見た感想などもお話しいただきました。

※オープン視察とは:事前予約制で1名様からでも参加できる定期開催の合同視察プラン。自治体様・工事業者様など様々な業種のお客様にご参加頂き、新製品や高機能管材の最新の採用事例などをご紹介しています。
(開催場所:千葉ソリューションセンター/千葉県市原市 千葉積水工業内)

発注者 :国立大学法人福島大学 施設課
設計会社 :株式会社桂設計
設備工事 :有限会社安積工業

福島大学 施設課 渡部係長
福島大学 施設課 渡部係長

配管長600mの給水・消火用埋設管改修で採用!

コロナ禍での大学についてお伺いしてもいいでしょうか? 自粛期間もあったと思いますが、寮の学生の皆さんや大学の様子はどうですか?
今はオンラインによる遠隔授業になっています。寮にいる学生も遠隔授業です。中にはパソコンのない学生もいるので、そういう方は総合情報処理センターのパソコンを使って授業を受けています。基本的には寮生も自分の部屋です。寮から実家に戻って、実家から授業に参加していた学生もいたのですが、3割くらいの学生が再び寮に帰ってきました。10月から対面授業を始める予定です。特にゼミや実験・実習などはどうしても大学にいないとできないので。
今回の工事には影響はあったのでしょうか?
3月までに予定通り工事は完了し、緊急事態宣言が発令される前でしたので、大きな影響はありませんでした。業者の方々が連携して滞りなく工事を進めてくれたおかげです。
では、工事について詳しく伺います。今回はエスロハイパーを採用いただきましてありがとうございます。採用までの経緯を教えていただきたいのですが、その前に渡部様の所属する施設課についてお教えください。
大学の施設課は、その名の通り、日常の施設の維持管理や、建物を新規で建てる場合や改修工事の場合に中心になって動きます。もちろん、電球交換から配管清掃などの業者さんの手配から施設全体の運営管理まで全部が仕事です。
そうは言ってもここは大学ですから、研究機器とか実験機器は専門性が高すぎるので、先生にお任せしていますが、それ以外の空調、給排水、電気など建物に関することや各種検査、水質検査などは施設課で担当しています。
改築工事が決定するまでの経緯をお教えください。大学(施設課)だけで決定できるのでしょうか?
施設課だけで決定することができる工事は、施設課の予算で対応可能な小さな修繕工事となります。
今回のような大規模な工事は、施設整備費補助金を利用して行うことが多いです。通常の流れとしては毎年6月ごろに文部科学省に「次年度にこういう工事をしたい」と考えている一覧の概算要求を提出します。その後、協議などを行い、交付決定後、工事本番に向けて進んでいきます。
今回の工事もそのように進んだのですか?
今回の工事は、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構の施設費交付事業で行いました。学生寮系統配管改修工事をやりたい旨を大学改革支援・学位授与機構に要請し、認められたので工事が行えることになりました。
今回の寮の改修工事についてお聞かせください。何年くらい経った寮だったのですか?
福島大学がこの金谷川キャンパスに移ったのが1979年から1981年。建物は1980年に建てたので約40年経過しています。概算要求をした時点では38年です。
渡部様ご自身は配管には詳しいのですか?
私は高校・大学で土木を専攻しましたが、大学の施設課に就職してからちゃんと勉強しました。一般企業に就職して土木業や電気工事もやっていましたね。大学施設課は、建築・土木・電気・機械に分かれていて、福島大学では、建築係(建築・土木担当)と設備係(電気・機械担当)に分かれています。私は電気・機械担当です。
今回の工事概要をお教えください。

今回は共同溝の一番末端部分から如月寮に行くまでの系統を更新しました。共同溝の末端が文科系サークル棟の出口で、そこからずっと寮まで200mほど埋設配管になっています。
途中には合宿研修所や第2体育館などがあって、そこに行く配管も更新しました。如月寮の地下がピットになっており、そこから分岐して、信夫寮、葵寮、そして最終的には馬場まで配管は繋がっていますが、今回は如月寮の地下ピットまでの更新です。今回は、学生寮に行く系統で上水(普通に飲む水)と中水(大学のトイレで使っている再生利用水)と消火管の3系統を更新しています。

劣化箇所はどうしてわかったのですか?

発端は消火管で漏水が見つかったのです。寮の消火訓練を行った時に消火栓のホースから茶色い水が出てしまって。つまり何処か分からないが埋設部分が漏水しているわけです。高い建物の上には消火水槽を設置していますが、その水槽への補給水があったので配管に漏水があるということが確定できました。

業者さんに漏水調査を依頼しましたが、埋設部分が200m程あるため、漏水箇所を見つけられませんでした。地上に穴が開いていたり、土砂に動きがあれば分かりますが、そういう兆候も全然無く、漏水箇所が一向に分かりませんでした。
そこで「もう年数も経っているし、配管全部をやり直そう」ということになりました。

その時点ではどんな管を使うつもりでしたか?
その際、やり直すとしたらどんな配管がいいでしょうと業者さんに相談してみたら、その答えがエスロハイパーでした。
従来は鋳鉄管を使っていたのですか? どの段階で正式にエスロハイパーに決めたのですか?
そうですね。でも「鉄管を使っていると腐食して漏水しますよね」と業者さんと話していて「やっぱりエスロハイパーとかがいいよ」と言われたので、では試してみようかという気になりました。だからエスロハイパーを採用したきっかけはその業者さんの提案です。そこからインフラの長寿命化や耐震性の良い配管を調べていくとやっぱりエスロハイパーになったわけです。だから今回は最初からポリエチレン管ありきで設計を始めました。
管種は設計段階で決めますが、落札された後、業者さんの提案で管種を変えることも勿論ありますよ。
工事のスケジュールを教えてください。

契約は2019年の12月で、工事は2020年3月までですね。1月14日からアスファルトカッターを入れました。それまでは手配とか現場確認などの準備期間です。
上水、中水、消火と3系統全部更新していて、外周道路に配管しました。通行止めにして工事優先で行ったので非常にスムーズにできました。掘削して配管している間に、その先を掘削して、配管したら後を埋めていく、という流れ作業で行いました。

漏水しているところは見つかりましたか?
既設管が埋設されている箇所が歩道の下なのです。キャンパス移転当時に通して、その後、現在までの間に配管上にいろんな構造物等が建ちました。既設管を掘削・撤去すると大事になってしまいますので撤去していません。
ただ5年くらい前にも中水配管が漏水して、掘削して中水管を繋ぎ直したので配管が錆びている状況は想像できます。
エスロハイパーを使った工事業者さんの感想はどうでしたか?
工事の合間に施工の感想を聞いていましたが、やっぱり一番良いのは配管が軽いことだと言っていましたね。
ほかの寮も今後は改修予定なのでしょうか?
そうですね。昨年概算要求を出して今年度予算が付いた工事で「ライフライン再生(給排水設備)」という事業があり、2000年以前に造った共同溝の配管とその他の埋設配管を更新予定で現在設計中です。設計業者さんとは今回の埋設配管と同じ配管でやりたいですね、と話をしています。
渡部さんはエスロハイパーを使ったことは?
今回が初めてです。ポリエチレン管はガス工事の時に見たくらいですね。融着式で無いものでしたらありますが。給水管で融着式を使ったのは初めてです。
エスロハイパーの存在は知っていましたか?
そうですね。セキスイさんからカタログはもらっていたので知ってはいましたが……。融着の機械が要るし、地元の業者さんでやったことがある方がいるのか?と疑問でした。だから勝手に候補圏外にしていた感じですね。そうしたら地元の業者さんから逆に提案があったので「やってみよう」となりました。
エスロハイパーの一番最初の印象は?
鉄管はがっしりしている感じですよね。それに比べて印象として不安が無かったわけでもないですが……。でも鉄管は錆びるという考えがありますので。私は錆びない方が良いと思いました。
まだ、その時点では工場見学にも行っていませんでした。市役所とか県で使われているというのは知っていましたので、「強度面の問題は無いだろう」と思っていました。
だから千葉ソリューションセンターのオープン視察にも参加されたのですね。
そうですね。きっかけはセキスイの田中さんに紹介してもらったことですね。次年度以降にも工事がありますので、参考になるだろうと思い参加しました。
感想としては、エスロハイパーの破壊試験を見て、ここまでしないと壊れないのであれば強度も大丈夫だろう、と確信しました。エスロハイパーの高圧消火管も軽量で施工性も良さそうですね。さっそく消防署へ相談したら使用OKとのことでしたので、今後機会があれば連結送水管で使ってみたいですね。

千葉ソリューションセンター エスロハイパーAW施工実演

エスロハイパーAW高圧消火管

また実際に使用し腐食した老朽配管のサンプルをソリューションセンターで見ることができるのも参考になりました。
あと別のパイプの話になりますが、耐火VPを実際に燃やす燃焼実験を見て、非常に刺激を受けました。他管種の燃焼後のサンプルを一緒に見られるのも、比較し易くて良いですね。
我々もメーカーさんの新製品を必ずチェックしているわけではないのですが、設計業者さんや施工業者さんから「こういうパイプを使いたい」と言われることが多いです。そういう新しい製品を実際にいろいろと見て触れたのが良かったです。

腐食した老朽配管サンプル

耐火VPはどうでしたか?
ちょうどもうすぐ音楽棟の改修がありまして、設計が来月いっぱいで終わることになっているのですが、設計業者さんからも「耐火VPを考えています」と話がきています。
実際に見ることは決め手になりますか?
耐火VPパイプ燃焼実験

今まで排水用だと耐火二層管を使っていました。私は実際には工事はしないので、そんな重いものだと知りませんでした。でも実際に持って重さを感じると印象は全然違いますね。
オープン視察の当時はちょうど、管理棟の改修工事をしている時で、業者さんに「耐火VPという製品がある」と伝えたら、その業者さんは知りませんでした。「工場見学とか最近行っていないから知らないな」と言っていました。
私が施設課で働き始めたころ、 排水及び通気管は、配管用炭素鋼鋼管(白管)を採用していました。「白管は高いし、施工のし易さも考えて耐火二層管がいいよ」と業者さんが提案してくれて耐火二層管を採用していましたが、次からは、耐火VPがメインの流れになるのかなと思います。
カタログをもらっても隅から隅まで読むわけじゃないし、設計業者さんや施工業者さんがいつも提案してくれるわけでもないです。

今回の設計業者さんは「単価はこっちが高いけど、施工代はこっちが安くなるから、トータルだとこっちの方が安い」と根拠を付けてくれます。全体的に工期が短くなるとか、付加価値も含めて提案をしてくれました。
1回採用すればわかるのですが、最初の1回目は付加価値を含めた提案が必要だと思います。既に構内の4つの施設で採用しているACドレンパイプも、最初は付加価値提案からでした。

付加価値を含めたトータル提案が必要なのですね。
積算のベースに使うのが公共建築工事積算基準です。
そこに項目がないものは採用しづらいという傾向があります。例えば白管だと長年のデータがあるので採用するハードルがありません。これは何人工だとか、複合単価が幾らだとか、資料が作りやすくなっていますので。
最後に積水化学への要望や期待されていることをお聞かせください。
モデル配管視察

工事の際の話になりますが、EF接合の施工完了のデータ一覧をもらいました。ちゃんと融着完了が確認できましたので、お墨付きをもらったみたいで安心できました。
また、オープン視察で感じたことですが、いろいろな業種の方のさまざまな意見が飛び交うのを聞くのは非常に参考になりました。
一緒に見学に来ていた施工業者さんが「こういう配管があったらいい」と隣で要望を伝えていたのを見て、そういう要望をどんどん実現していったら良いと思います。
自分たちは発注するだけで、実際に施工する人がいないと成り立たない。施工業者さんがもっと施工しやすくなったら良いですね。
今度は建物の屋内配管でエスロハイパーを使うかどうか。業者さんと相談しようと思います。
新しい製品が発売されたらまた是非教えてください。
今回のようなオンラインの提案もウェルカムです。

貴重なアドバイスを今後の参考にしたいと思います。本日はお忙しいところありがとうございました。


今回ご紹介させていただいた製品

エスロハイパーAWのイメージ

水道用耐震管高性能ポリエチレン管エスロハイパーAW

水道配水用ポリエチレン管と同じPE100グレードの青い水道管です。耐震管に区分される配水用ポリエチレン管からは、EFプラグ付きサドル等により分岐部もEF接合(エレクトロフュージョン接合)により一体化が可能。腐食の心配のある金属継手や、耐震性に懸念のあるネジ接合を行うことなく、給水用ポリエチレン管にEF接合が可能です。
阪神淡路大震災以降すべての大地震において、サドルや枝管に至るまで「地震動による被害はゼロ」の「ガス用ポリエチレン管」。
同じ分岐構造をもつ「ポリエチレン管路による配水・給水管路の一体化」は、今後の水道管路網のスタンダードとなっていきます。
また、給水用ポリエチレン管(エスロハイパーAW)は、給水管路として普及している黒ポリ(1種二層管)とも同じJIS外径寸法を有しており、EF接続、耐震メカ継手による接続も可能です。

特長

●サドル分岐部は横ずれだけでなく、振動やねじれに対しても「融着一体化」されているため安全。

●本管がポリエチレン管の場合、サドル部を含めて「オールPE化」が可能で、経済的。

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エスロハイパーAW消火管・高圧消火管
消火設備配管用エスロハイパーAW 消火管・継手(日本消防設備安全センター性能認定品)

最高使用圧力1.2MPaの条件下で、工場敷地内や屋外大型駐車場、マンションなどの屋外埋設消火栓設備配管をはじめ、屋内消火配管埋設用途、湿式スプリンクラー配管埋設用途、湿式泡消火設備埋設用途(消火剤混合装置の一次側で水配管に限る)、湿式水噴霧配管埋設用途に使用できます。
※防火区画貫通箇所や火災時に熱の影響を受ける恐れのある場所では使用できません。

エスロハイパーAW 高圧消火管・継手

最高使用圧力1.6MPa認定を取得した消火設備埋設配管用のポリエチレン管(ポリエチレンパイプ)で、誤施工防止のためパイプの外面に赤い線、継手に赤ラベルを施しています。

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