金沢大学附属中央図書館に
新技術のクウチョウハイパーCHが採用されました
印刷版PDF(会員限定)加賀藩の種痘所を源流に150年を超える歴史を持ち、医療の発展と教育の充実に貢献しつづけている金沢大学。 その本部がある角間キャンパスにおいて暖房用ボイラーによる高温水の供給停止にともなう空調設備改修工事が実施されることになり、空調配管用高性能ポリエチレン管『クウチョウハイパーCH』が採用されました。
国立大学法人 金沢大学は1862年(文久2年)、加賀藩種痘所を源流とし、旧制第四高等学校や旧制官立金沢医科大学、金沢工業高等学校、石川師範学校などを母体に、19 4 9年(昭和24年)、新制国立金沢大学に統合された日本海側を代表する基幹的な総合大学です。150年にわたり学都・金沢の礎となるとともに、各方面に多彩な人材を輩出しています。
180万冊以上の蔵書数を誇り、貴重な資料等も保管されている中央図書館の空調機器設備配管リニューアル工事にクウチョウハイパーCHが採用されたことについて、金沢大学施設部管理課機械係長 改瀬貴弘さんにお話しをお伺いしました。
この度は、クウチョウハイパーCHをご採用いただき、ありがとうございます。本工事は、熱源機器の改修にともなう空調設備改修工事とお聞きしております。詳しくお聞かせいただけますでしょうか?
改瀬係長 はい。現在、暖房用に高温水を供給しているボイラーは角間キャンパスへの総合移転開始(平成元年)のごく初期に設置されたものです。
工事のあらまし
工事件名 : 金沢大学(角間)附属中央図書館空調設備改修工事
規 模 : 鉄筋コンクリート地下1階 地上3階建て 延べ床面積 10,476m2
発 注 者 : 国立大学法人 金沢大学
工 事 : 日栄商事株式会社
工 期 : 2017年6月~12月
中央図書館などにも高温水を供給していますが、ボイラーの老朽化にともない段階的に高温水の供給を停止していくこととなりました。熱源機器の更新など、新たな空調環境を構築することになりました。
中央図書館の空調設備改修工事もその一環でしょうか?
改瀬係長 そうですね。中央図書館の場合、高温水供給停止によって暖房用の熱不足が生じるため、図書館3階の室外機器設置スペースにある冷温水系統の既設機器の脇に新たなモジュールチラーを設置します。
この熱源更新に併せて3階の室外機器設置スペースと地下1階にある熱源機械室、その熱源機械室と2次側のエアハンドリングユニット7台をつなぐ5系統の配管(密閉式での循環配管)をリニューアルすることになったものです。
- 配管リニューアル決断までの背景について、教えてください。
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改瀬係長 角間キャンパスの中央図書館は、平成元年に竣工しました。しかしながら、今回の熱源機器更新にともない既設管(SGP)の状況を調べてみると、かなりの錆と漏水が確認されました。このままでは機器の運転に支障が生じると判断し、熱源機器の更新に併せて配管リニューアルを行うことにしました。
- そこでエスロンの『空調配管用高性能ポリエチレン管 クウチョウハイパーCH』の登場となるわけですが、いくつもある冷温水管の中からクウチョウハイパーCHをお選びいただいた経緯をお聞かせください。
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改瀬係長 文部科学省の通達により、『インフラの長寿命化』と『中長期的な維持管理等に係わるトータルコストの縮減』が求められております。
さらにその目的に見合った『新技術の導入』が推奨されているため、管路全体がポリエチレン製で錆びることがなく、融着接合で漏水の心配のない『クウチョウハイパーCH』を選びました。
錆びないという点では、他にステンレスも検討しましたが、コストパフォーマンスの点においてもポリエチレンの方が優れていたため、クウチョウハイパーCHを採用することになりました。
- インフラの長寿命化やメンテナンスが採用の理由とお伺いしました。しかし、既設管と同じSGPであれば、従来通りの設計、仕様書作成で済む中、クウチョウハイパーCHの採用に踏み切られた理由を改めてお聞かせください。
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改瀬係長 一番の決め手は『インフラの長寿命化』と『トータルコストの縮減』です。文部科学省の通達*1もあり、最も重要視した項目になります。
SGPの場合、施工時のネジ切りによる鉄粉が管内に残る可能性があります。さらに、それらが原因となり、経年変化による錆がモジュールチラーとエアハンドリングの故障の元になることがあります。もちろん不純物を除去するためのストレーナーがあり、施工時のゴミは試運転時に取り除くのですが、メンテナンスを考慮すると、錆びることのない『クウチョウハイパーCH』は信頼できます。またSGPの配管の場合、熱伸縮継手を設置しなければなりません。その点、熱伸縮を管路そのもので吸収する『クウチョウハイパーCH』なら熱伸縮継手の設置は不要です。さらに、融着接合により管路を一体化できるため、継手部からの漏水の心配がないことも理由の一つです。
高性能ポリエチレン管の融着施工の信頼性は、給水管での実績により十分なものです。ポリエチレン管特有の大幅な熱伸縮は、クウチョウハイパーCHの三層構造* 2という高機能化によって克服されていることが、メーカーの説明や施工実績によって納得できたため、安心して『クウチョウハイパーCH』を選ぶことができました。*1 「インフラ長寿命化計画(行動計画)の策定について」(平成27年3月31日)
*2 高温対応の特殊高性能PE樹脂、酸素透過抑制バリア層、ガラス繊維複合高密度PE樹脂を
特殊成型によって三層構造化しています。
- ここでリニューアル配管の内容について、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか?
- 改瀬係長 まず3階室外にある熱源機器と地階の熱源機械室との間にクウチョウハイパーCH(2管式)の立て管があります。それに熱源機械室と7台のエアハンドリングの間にクウチョウハイパーCHを用いた立て管が4系統。これらの立て管のヘッダーについても長く持たせたいということから今までのS G P 製をステンレス製のヘッダー4基に入れ替えました。
- エアハンドリングが設けられているスペースが閲覧室になっているのでしょうか?
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改瀬係長 そうです。閲覧スペースはエアハンドリング、その他の部屋はヒートポンプタイプのエアコンによる個別運転という構成になっています。
それだけに閲覧室を利用する学生さん達への影響を最小限にとどめるべく、夏休みの間に改修工事を進め、通常11月下旬の暖房運転の開始に間に合うよう工事を終わらせる運びです。
- クウチョウハイパーCHの施工性についてはいかがでしょうか?
- 改瀬係長 施工会社にポリエチレン管の施工経験があり、融着施工に手慣れていることもあって、鋼管に比べると遥かに軽いクウチョウハイパーC Hはとても扱いやすく、施工効率アップにつながったと聞いています。さらにネジを切るなど加工の手間が省けることも効率アップの要因で、クウチョウハイパーCHに柔軟性があることから現場での取り合いで微調整しやすいのもありがたいところです。
また、この現場では地下ピットのみ搬入口が十分に確保できなかったので短くして施工しましたが、その他は定尺のまま配管できたのもクウチョウハイパーCHの施工性の良さにつながっています。
防火区画貫通処理にフィブロックが用意されており、簡単確実に施工できるのもいいですね。
- 施工会社の日栄商事株式会社(石川県金沢市)様からも、実際に施工されて良かったこと、また、改善・要望事項をいただいております。ぜひ、今後の事業活動に役立てさせていただきたく考えています。日栄商事様、ありがとうございました。
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【良かったこと】
- ・重量が軽いため、非常に施工効率が良い。
- ・ねじ切り等、加工の手間が省けるのが良い。
- ・融着接合のため、ねじ接続に比べて漏水の心配が少なくて済む。
- ・柔軟性があるため、取り合いの微調整が効きやすい。
【改善・要望事項】
- ・継手の品揃えを増やして欲しい。
- ・管サイズの幅を増やして欲しい。
- ・水圧試験専用の継手等を品揃えして欲しい。
- ・継手の大きさにより、芯ずれがある場合、管の振り回しが大きくなる。
- ・継手のターミナルピンがあるため、保温しづらい場合がある。
大変貴重なご意見をいただきました。当社としては、以下の通り考えています。
管・継手とも、呼び径65、125シリーズの上市を2018年度に行うべく、鋭意開発を進めております。
また、水圧試験対応、計測器取付対応など、品揃え対応も強化してまいります。
継手の収まり改善、保温施工時の課題など、施工性向上にも取り組んでいく所存です。
貴重なご意見をありがとうございました。皆様方からの信頼にお応えできるよう尚一層の製品開発、サービス向上に努めてまいります。今後ともよろしくお願いいたします。
今回ご紹介させていただいた製品
製品解説
空調配管用高性能ポリエチレン管クウチョウハイパーCHは、冷温水用途に最適のポリエチレン管です。耐久性・耐食性に優れるため腐食や漏水の心配がないうえ、軽量でスピーディな施工が可能です。
冷温水枝管のスーパーエスロメタックスFCや冷却水管のエスロハイパーAWなどと合わせ、オールプラスチックの一体化ライン構築を実現します。
特長
- ●経年劣化による内面の腐食と漏水の心配がありません。
- ●ポリエチレン管は錆びることがなく、水道本管などでも豊富な実績を持っています。
- ●管と継手の接合は信頼のEF接合(ねじ切りや溶接の作業は不要)。
- ●軽量でスピーディーな施工が可能(100Aで重量はSGPの約1/3)。
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