埼玉県秩父市で積水化学の
防災貯留型トイレシステム(災害用マンホールトイレ)が初採用!

秩父夜祭の花火大会会場で展示・紹介しました!施工・夜祭編

  • #災害用マンホールトイレ
  • #防災・減災
  • #避難所の衛生環境改善
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Introduction

秩父夜祭は秩父の総社である秩父神社の例大祭で、三百有余年の歴史を誇ります。京都の祇園祭、飛騨の高山祭とともに日本三大曳山祭に数えられます。
この度、秩父市役所の駐車場に積水化学の貯留型マンホールトイレが採用され、秩父夜祭にて展示・紹介されました。本工事で施工を担当した萩原工務店 代表取締役の萩原様にマンホールトイレを施工した感想を伺いました。
また2024年12月3日(火)に開催された秩父夜祭にて、マンホールトイレの上物(建屋、トイレ台座)と秩父市監修の説明パネルを展示し市民の皆様に紹介いたしました。
秩父夜祭で打ち上がる花火の観賞スポットでもある秩父市役所の駐車場には多くの市民の皆様が訪れ、展示されたマンホールトイレにも興味をもって見学していただきました。

インタビュー : 2024年12月3日2025年1月23日
秩父市役所 総務部 危機管理課様、株式会社萩原工務店様

Guest

株式会社萩原工務店 代表取締役 萩原 健 様

Interview

———初めに萩原工務店様について教えてください

萩原様 : 私どもは主に秩父市を中心に公共事業の工事を請けております。その中でも、土木工事、水道工事、舗装工事等をメインに扱っております。
常々、工事内容に不適切なことがないよう、また工期設計など、関係の方に十分なものを提供できるように心掛けて工事をしております。

萩原 健 様
株式会社萩原工務店
代表取締役 萩原 健 様
———今回の現場の概要について教えてください
萩原様 : 地震災害などの緊急事態発生時に、市役所へ避難された方が使用するマンホールトイレの管路を設置する工事です。貯留管の設置、貯留弁付きマンホールの設置、公共下水道までの配管と給水工事を行いました。
秩父市でマンホールトイレが採用されたのは積水化学さんの製品に限らず初めての事例と聞いております。
もちろん私どももマンホールトイレの管路施工は初めての経験でした。
———工期はどれほどかかりましたか?
萩原様 : 市役所の駐車場に穴を掘って・埋めて・復旧するまでの下水道関連の工事は、おおよそ1ヶ月かかりました。
ただ、今回は付属として防災倉庫、水道の給水設備も一緒に工事の内容として含まれていましたので、全部で1ヶ月半くらいの期間が掛かっています。
マンホールトイレの管路まわりと給水工事、埋め戻し作業の部分は、今回の現場では50m弱の施工延長でしたので、1週間程度で終わりました。
———施工をした感想をお聞かせください

萩原様 : 今回の現場は土被りが深くなかったため、山留め・土留めなどの支保工設備を設置する必要がありませんでした。そのため、短期間で施工が出来ました。
市役所の駐車場だったので、周りに構造物がなく広くスペースを使うことができました。学校内に設置する場合などでは位置の選定に注意が必要で、もし建物の間とか狭小スペースに設置する場合だと、部材の搬入・搬出・施工に少し手間がかかってしまうと思いました。
今後、避難所などを中心にマンホールトイレの設置計画が出てくると思うのですが、そういった場合は学校の長期休暇に合わせて工事が組まれるのかなと思います。

萩原様
———今回の現場で苦労されたことはありますか?
萩原様 : 今回の現場は、広いスペースを使用できたこともあり、恵まれた環境だったと思います。強いて言えば、管の接続が大変でした。
貯留管には呼び径450の塩ビ管を使用しました。
口径が大きく人力での挿入は出来ないため要領書を参考にチェーンブロックを使いましたが、ちょっと工夫して、管口に輪っかをかけるような鉄製の治具を作らせて使用しました。積水化学さんの方で事前に管径にあわせた易施工治具を用意して貸し出してもらえれば、もっとスムーズにいけたのかなと思います。

秩父市役所 駐車場での施工風景

———これまで積水製品を扱われたことはございますか

萩原様 : 積水化学さんの製品でいえば、急傾斜下水道システムを施工したことがあります。下水道用ポリエチレン管 と減勢工付きマンホールの施工です。それを機に高密度ポリエチレン管の融着を経験しました。今は水道の本管や引込管で青ポリ(配水用・給水用)の施工を年に3件程、施工させていただいています。
今回の現場ではマンホールトイレの管路に沿って、水道給水用ポリエチレン管も融着で施工しました。

貯留管と平行に並べるように
水道給水用ポリエチレン管(SDR11)も施工
———防災トイレを施工してみて感想はありますでしょうか
萩原様 : 「阪神淡路大震災」から30年、「令和6年能登半島地震」から1年。住民の皆さんの防災意識が高まっていることもあり、工事にも注目していただけたかと思います。
仕事している時にも近所の方から「いいものができるね」「どんどん増やしていければいいね」なんてお声掛けいただきましたし、場所にもよると思いますが、各地区の避難所にこういったものをどんどん増やしていければいいなと思いました。
———最後に積水化学へのご要望はありますか?

萩原様 : 立ち上がり管についてですね。鞍の部分は設計上、接合材でくっつけるものです。鞍の部分も耐震性があるとは聞きましたが、この接合部の強度が心配です。
地震の時、青ポリは地震に追従できるので、強いじゃないですか。塩ビ管は追従できず、支管の所は特に接合材での接着なので、パカッと取れてしまったり、隙間が開いちゃったりする可能性はないか心配です。
こういったところに、マンホール継手のようなゴム製の鞍をつかえばもっと応力を緩和できるのではないでしょうか。地震災害後にも安心してトイレが使えるというマンホールトイレですから、更に安心安全な製品にしていただけると嬉しいですね。

貯留管の立ち上がり分岐部

ありがとうございました。さらに施工性・耐震性の良い製品の開発に取り組んでまいります。


秩父市役所駐車場にて、
マンホールトイレの地上部を展示・紹介しました

Guest

総務部 危機管理課
課長 強谷 佳宏様
主査 丸山 菊夫様

Interview

———マンホールトイレを導入するきっかけは何だったのでしょうか?

強谷様 : きっかけは能登半島地震ですね。それ以前も色々な地域で災害が起きている中、市としても災害時のトイレ問題は非常に重要な案件であると認識しておりました。
能登の避難所では、汚物で使用不能となった便器や、数人で使わなければならない携帯トイレなど、切実な問題となっていたのがトイレだったと聞いています。

大規模災害のたびに同じような問題が起きており、このようなことから、災害時にトイレを確保できる対策として、マンホールトイレを導入しました。

総務部 危機管理課 課長 強谷 佳宏様 主査 丸山 菊夫様
総務部 危機管理課 課長 強谷 佳宏様
          主査 丸山 菊夫様
———防災トイレはマンホールトイレと決まっていたのでしょうか
強谷様 : いえ、決まっていませんでした。何か良いシステムはないか?という候補の中に、トイレトレーラーやマンホールトイレなどがありました。
能登半島地震を受け、やはり災害時のトイレ対策は必要だという結論になりまして、祭りなどイベントの多い秩父の土地柄も含めて、マンホールトイレを作っても有効な活用が可能であると判断して、今回のマンホールトイレの導入につながったということになります。
どのメーカーのマンホールトイレを採用するかは先に下水道課において検討がなされ、管路内に貯留するタイプであることから最終的に積水化学さんの「防災貯留型トイレシステム」を採用する事に決まりました。
———今回、秩父夜祭に展示してみていかがでしたでしょうか
強谷様 : 当市役所の駐車場は秩父夜祭花火大会の観賞スポットであるため、多くの市民の皆様が訪れます。
マンホールトイレを見て触れる機会は少ないですので、市民の皆様も興味をもってマンホールトイレを見ていただけました。
今回は展示のみで、実際にマンホールトイレは使いませんでしたが、会場のあちこちに汲み取り式の仮設トイレを設置しています。入り口に段差がないことや室内の広さなどを比較してマンホールトイレの良いところは十分に伝えられたのではないかと思います。
また、トイレ台座は他市も使用しているベーシックなトイレ(シュータータイプ)と、フラップのある自動水洗型の新製品、2タイプを展示しました。
フラップのある自動水洗型は、清潔感もあり普段使いのトイレと大きく変わらないとのことで、見学に来られた市民の方からも大変好評でした。

従来型(シュータータイプ)

従来型(シュータータイプ)1
従来型(シュータータイプ)2

従来型(シュータータイプ)の外観

従来型のスリーブタイプ

従来型のスリーブタイプ
※管路の貯水により臭気は低減されます

自動水洗型(フラップタイプ) NEW

自動水洗型 (フラップタイプ)1
自動水洗型 (フラップタイプ)2

自動水洗型 (フラップタイプ)

自動水洗型は、水流で便器をすすぎつつ、水の重みによりフラップが開き汚物を洗い流します
フラップ型のため管路からの臭気を更に低減できます

※トイレ台座は、防災・減災プロジェクト の協力会社 株式会社総合サービス製

強谷様 : 花火観賞に来た市民の皆様全員に説明できた訳ではありませんが、新しい取り組みとして、ここ秩父市役所駐車場にマンホールトイレが整備されたことはPRできたと思います。
また、来られた市民の皆様から非常に好評でしたので来年の展示も検討したいと思います。
マンホールトイレは、避難所における生活環境の維持、被災された方の精神的な負担軽減、災害時の社会機能の維持やバリアフリー性など、多くのメリットがございます。
秩父市では、引き続き、水や食料と同じレベルで、災害時に必要となるトイレ問題について調査研究をし、市民の皆様にお伝え出来ればと考えております。

———ありがとうございました。今後も秩父市さまの防災計画に貢献できますよう努めてまいります。本日はお忙しいところお時間をいただきありがとうございました。

マンホールトイレ展示の様子

災害時はフタを開けて
建屋・トイレ台座をセッティング!

貯留弁の開閉はカンタン!

防災貯留型トイレシステムのマンホール

平常時は駐車場として使用しています

マンホールフタには秩父市イメージキャラクターが使われています
(左:秩父市宣伝部長 ポテくまくん、右:ポテくまくんの妹ぷめるちゃん)

<営業担当から一言>

東日本セキスイ商事株式会社
防災・減災プロジェクト 小野寺 陽

私ども東日本セキスイ商事 防災・減災プロジェクトでは、地域自治体様へ災害時に被災された方が快適に利用できるマンホールトイレについて、上物の建屋や便器、ポンプなどと一緒にトイレシステムとして、避難所等にご採用いただく活動をしています。
この度は秩父市役所内駐車場に最新のマンホールトイレシステムをご採用頂き、万一の際、被災者の方に安心と不快感の無いトイレを使っていただけるようになったことをとてもうれしく思っております。
また秩父夜祭の花火大会会場内に新製品の自動水洗トイレ含めた展示をさせて頂いた中で、市役所関係者や近隣住民の多くの方々に認知頂けたことは非常に良かったです。
今後マンホールトイレは災害時だけではなく、年数回のイベントでも使用できるトイレシステムとして活用展開していただけたらと思っています。

秩父市PICK UP!

みそポテト
みそポテト

秩父の名物「みそポテト」は、秩父を代表する郷土料理・B級グルメです。
じゃがいもを使って簡単に調理でき、おかず・おやつ・おつまみの何にでもなる定番料理で秩父のソウルフードです。
埼玉県秩父地方では「小昼飯(こじゅうはん)」と呼ばれる、農作業の合間や小腹がすいた時に食べる郷土料理がいくつかあり、みそポテトはその代表的な1品。
学校給食の献立にもなるほど秩父では定番の食文化として根付いています。
秩父市イメージキャラクター「ポテくまくん」もこの「みそポテト」がモチーフになっています。
秩父に訪れた際には、一度は食べてみてほしい一品です。

Products

今回ご紹介させていただいた製品

災害用マンホールトイレ(貯留型)防災貯留型トイレシステム

製品解説———

地震等の災害時、食事の確保だけでなく、トイレ問題が大きな問題となっています。積水では、阪神・淡路大震災の経験を反映し開発した、避難所等にあらかじめ設置したマンホールの蓋の上に仮設トイレを設置した“防災貯留式”をご提案します。使用時には、仮設トイレ用の管路にプール等から水をためることで臭いの問題を低減し、汚物が溜まった貯留槽の弁を1日1回~2回開け、汚水を下水道本管に一気に流します。貯留槽1基で5個の仮設トイレが基本です。管路もリブ付硬質塩ビ管を採用したものであれば浮上防止対策にも万全です。

特長

例えばこんな時に…

市民マラソン
コンサート
花火大会、盆踊り

平常時は学校・公民館などの駐輪場に!

平常時

自転車置場兼災害用トイレブース

やじるし
組立て

身障者用ブース(手前)も対応可能

市民マラソンでの使用例

仮設トイレシステム設置後

平常時の訓練も大切です!

災害用パネル式トイレ設置の様子

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